斧あてしごとき一笛初神楽 訃報 俳人・伊藤敬子さん死去2020年06月06日

 今朝は蒸し暑い。ぼーっとした頭で新聞を開くと伊藤敬子氏の訃報が目に留まった。公益社団法人愛知県支部の支部長も努めていた。東海地方俳壇の第一人者であろう。句集は持って居ないが、『鳴海しぼり』『四間道』など足元に題を得た句集名に興味を持って居た。

 前田普羅も弟子筋には足元を詠め、と指導したごとく、俳人の姿勢としては立派なこと。中日俳壇の選者にされないのが不思議だった。多分ですが、人気を二分する「風」の沢木欣一の弟子の栗田やすし氏の全国的な広がりに比較して限界があったのかと。
 足元にこだわれば全国的人気は得られない。栗田氏にはもう一つ大きな強みがある。それは河東碧梧桐の研究家だったこと。これは栗田氏を全国区的認知度を高めたであろう。一方で伊藤氏は愛知県生まれの書記官で「ホトトギス」の俳人だった鈴木花蓑の研究があった。あくまでも足元に徹したのである。しかし、花蓑は山本健吉をして「全体としては客観写生風の低俗句の羅列であるが、その中に少数の感覚の冴えた、凝視の効いた写生句が混じっている」と余り評価は高くない。こんなところも地味な俳人で終わったのである。

https://www.asahi.com/articles/DA3S14503386.html

 伊藤敬子さん(いとう・けいこ=俳人、俳人協会評議員)5日、肺炎で死去、85歳。葬儀は近親者で営む。喪主は夫和吉(わきち)さん。後日、お別れの会を開催予定。

 愛知県生まれ。80年に俳句誌「笹」を創刊、主宰を務めていた。第1回山本健吉文学賞を受賞。句集に「光の束」「百景」など。

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E4%BC%8A%E8%97%A4%E6%95%AC%E5%AD%90_(%E4%BF%B3%E4%BA%BA)

 表題に挙げた俳句は朝日新聞の大岡信『折々のうた』に採り上げられた俳句である。昭和63(1988)年の作品。53歳の作句だから勢いがあり、鋭い感性が感じられる。

神楽とは
https://www.isejingu.or.jp/ritual/annual/kagurasai.html

笙とは
https://www.youtube.com/watch?v=0W8A6n0OgkQ