映画「安城家の舞踏会」鑑賞2007年08月14日

 昭和22年制作。原節子主演の素晴らしい映画でした。舞台は安城家の家の中だけで一歩も外はなし。ストーリーは記すこともないくらい単純です。華族の没落を描いたというよりも原節子の美しさをスクリーン一杯にちりばめた感じがします。
 監督は吉村公三郎。レンタル店になくDVDもまだ未発売。愛知県立図書館の検索から探しあてた。ここでも貸出は禁止。朝10時の開館10分前でも5台の機器の先頭に並べなかった。鑑賞できたのは12時過ぎとなった。
 原節子はこの作品で人気急上昇となり以後小津の「晩春」につながって定着する。待ち時間の間『永遠の処女伝説 原節子』を読む。原のやや日本人ばなれした美貌は西洋人との混血だったことが記されている。
 大根役者との悪評が有ったらしい。たしかにぎこちない演技はある。小津は原に演技をさせなかった、というからもちろん見抜いていたのだろう。ただ原の美貌がシャシンの中に欲しかった、とも書いてある。厳しい見方であるがやたらと小津を神格化しないことも大切。小津さんの死後42歳で引退宣言もなしに引退してしまった。だから生い立ちからして調査は困難を極めるがよくまとめたものである。
 日本女性の美人女優といえば入江たか子、山田五十鈴、山本富士子あたりか。原節子の美貌はひと味違う気がしていた。しかし昭和20年代は原さんの人気の絶頂期であった。敗戦で希望をなくしていた国民にスクリーンの中で希望を与えてくれたんだ、とも。
 何はともあれ往年の映画ファンには懐かしい作品であろう。そして今観ても破綻のない素晴らしい作品である。

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