映画「二十四の瞳」鑑賞2007年08月17日

 1954年制作。松竹。日本中を感動させた名作。私も子供の頃に劇場で、学校で見せられたようなぼんやりした記憶がある。この映画も「小島の春」同様に明るい内容の映画ではない。美しい島に育った貧しいながらも純真な可愛い子供たちがやがて戦争へと駆り出されて行った時代を背景にした云わば教師の目から見た反戦映画である。
 分校に女先生即ち大石先生が自転車のペダルを踏んでさっそうと登場する。この場面と満開の桜の下で子供達と汽車にならって一列に遊ぶ場面は何時観ても懐かしい。小さな出来事を織り交ぜながら物語りは数年ごとに時代の推移を重ねていく。「小島の春」で主演した夏川静江扮する母も娘役の高峰秀子とともに老け役を見事にこなす。ここでは夫を亡くした未亡人であり、今は娘の身の上を案じるばかりである。
 大石先生自身も結婚し3人の子持ちである。女の子を亡くし、戦争で夫を亡くし、身内の度重なる不幸を乗り越える。教え子達も男の子は戦争に行って帰らず。新しい卒塔婆に手を合わす。田村高広扮する教え子は帰還したものの盲目となる有様。戦争の悲惨さをいやでも訴える。
 敗戦後再び分校の教師にカンバックする。平和な暮らしがいいと思う大石先生である。
 これはデジタルりマスター版を購入。コンピューターを使ってきれいな画像に再生したもの。木下恵介監督の言葉が画面に現れるが映画を観れば充分意思は伝わってくる。
 以前観た「男はつらいよ柴又より愛をこめて」で式根島の小学校の教師に扮した栗原小巻に若い頃「二十四の瞳」を見て憧れた云々という台詞をしゃべらせていた。映画の中の話とはいえ自社作品を上手く宣伝してますね。