老人性低体温症2019年11月04日

遭難を考える講演会
 このところの冷え込みで秋山遭難が増えてきた。北アでは72歳の老登山者が低体温症で死亡した。 
 登山の基本は、温かい衣料(行動中は軽く、休止中は防風対策、冷えに対策して工夫)、十分な水と食料(非常食も含む)、後不時露営に備えて、ツエルト、防寒着、体力が許せばコンロ、コッヘルで暖を取れる準備を固めていきたい。これらの装備をいつでも使えるようにしておくことも大切だ。
 今時は携帯電話など連絡手段も必須になった。秋山は早く日没する。早出早着きが常識。これから冬至までは日照時間が少なくなる一方なので行動時間が限られることも念頭に置きたい。

 テルモという医療器具のメーカーのHPから
 高齢者では暑さ、寒さに対する感覚が鈍くなり、身体の反応も弱くなっています。具体的には、暑くても汗をかきにくく、汗の量も少なくなります。また暑いと皮膚の血流が増えて体内の熱を逃がそうとするはずですが、高齢者の場合、暑くても皮膚の血流量が増えにくくなります。
 逆に寒くなっても皮膚の血流量があまり減らないため、体内の熱を逃がしてしまい、体を冷やしやすくなります。
 老人性低体温症
寒いとき、高齢者の手に触ると、温かく感じることが多いと思います。本来、寒いときは皮膚の血管が縮まって血流量が少なくなり、体内から熱が逃げるのを防ぐ仕組みがあります。しかし若い人にくらべて高齢者の皮膚血管はその反応が鈍いため、体内から熱が奪われやすくなります。
 さらに体内で熱を作り出す反応も高齢者では弱いため、体が冷えてしまいます。
 寒いときに体の中心部の体温が35℃以下に下がった状態を「偶発性低体温症」といいますが、高齢者の体温が低くなったときの状況をとくに「老人性低体温症」と呼びます。
以上
・・・・こんな老人の生理を考慮して秋山冬山に対応する必要がある。2012年のGWの白馬岳の稜線をTシャツ1枚だけで登っていた中高年のパーティ6人が全員低体温症で死亡している。
 「豊後ピートのブログ」から
「GWの白馬岳で6人が凍死 4」
https://blog.goo.ne.jp/bongo-pete/e/2b0dc77309ffd5dee6f12fe543b436f5#comment-list

 結局は当ブログの右に掲げたコラムにある跡部昌三さんの箴言に尽きると思う。
「悪天候は人を死地に追い込むためにあるのではないということである。厳冬1月も寒冷さ、風雪の狂う高所では、人の生存を拒否しているようであるがそこへ登ろうとするものは、それがどのようなものかは、すでに分かっているはずである。また、それに立ち向かう自由と、さける自由は登山者自身に許されている」

 自分の限界を知っておく。所詮自然の猛威には勝てない。頑張って褒められるのは人間界の虚構の中での話である。

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