狐来る久女の墓のほとりまで 杉田たか2019年11月28日

 杉田たか 句集『時鳥』から。杉田たかさんは「杉」同人。「晨」、「槐」、を経て同人誌「家」に参加。「杉」と「家」を拠点に詠む。

 久女の墓で分かる通り、場所は愛知県豊田市小原町の松名。岐阜県境にも近い。作者は杉田久女の嫁ぎ先の墓地の近くに住んでいる。今は長屋門しか残っていない。その奥に久女、娘の石昌子の久女ファン向けの句碑が建っている。久女の墓は夫の宇内の墓と並んで少し離れたところに夫婦で眠っている。たかさんは杉田姓からも杉田久女の家の親戚筋にあたる。狐が何か餌になるものを探しているのだろう。久女は才媛だったが人生には寂しさと薄幸のイメージが伴う。狐が出没する墓地にはいかにも寂寞に誘う。