映画「黒い画集 ある遭難」鑑賞2009年12月18日

 1961年東京映画作品。東宝。松本清張生誕100周年を記念してDVD化された。ツタヤレンタルの宅配便を利用した。今日到着した。DVDは09.10.23に発売された。ビデオは未発売とか。何となく見た覚えはあるが気のせいだろう。これも原作は読んで知っていた。
 俳優は児玉清と香川京子しか知らない。ストーリーは清張らしく性悪説でがんがん攻めたてる。ゼロの焦点、波の塔、砂の器、点と線他どの映画も救いがたい結末で終るがこの映画も同じで楽しい映画ではない。ネクラな人なんですね。
 しかし、登場人物が松本高校山岳部OBを語ってみたり、「岳人」という本物の雑誌が登場したり、鹿島槍ヶ岳など現実にあることで構成している。現地ロケをしっかりしているので破綻はない。しかも、南峰から黒部側に迷い込み易いという話を織り込んで物語を仕立てている。清張は今作では時刻表ではなく地形図や岳書を丹念に読んで作品を作ったのだろう。山屋には気になる映画だ。一度は見ておいていい。
 登山でやってはならないことを反対に仕組んでいけば遭難に導くことが出来る。松高OBの従兄弟は豊富な経験を元に天気予報、歩行のリズム、水の飲み方、夜行列車の過ごし方、無関係な近隣の地形図は持たない、ビバークの用意なしなど計画的犯罪を立証して行く。只、なぜなのか原因が不明であった。
 犯人は自分の妻が山の後輩に寝取られたことを根に持ち、後輩を遭難に追い込んでいく山岳サスペンスドラマであった。弟の死に不審を持って従兄弟に弔問登山に誘ってもらい、謎を解いていくのだが・・・・・。しかし、犯人も従兄弟も雪の壁を下るところで雪崩で遭難する。救いがたい結末の映画だ。
 折りしも有名人が富士山で遭難したことが報道されている。自然の前では敵味方なし、ベテランか素人かの区別もなし、自然は克服出来るものではないと謙虚に考えたい。