映画「山のあなた 徳一の恋」鑑賞2009年04月29日

 2008年5月公開の映画。東宝他の制作。DVDは2008年12月に発売されたばかりでレンタル店にはずらっと並んでいた。
 小学館文庫『シネマ大吟醸』で知った松竹の「按摩と女」が28日夜、届き早速鑑賞した。余りに面白い映画であった。ほのぼのとしてユーモラスな台詞、豊かな自然の風景描写、鄙びた温泉旅館の風情である。主役は当時20歳の高峰三枝子が東京から逃げてきた謎の女の役、按摩役には福市が日守新一、徳市が徳大寺伸が出演。また静養にきていた子連れの男は佐分利信という配役。渋いところが好きだ。ただこの映画では退屈そうな場面ばかりであった。それがいやが上にも盛上げるのだが。
 特に大事件があるわけでもない山間の温泉場が舞台であるがイントロから徳市、福市の按摩コンビの会話が洒脱で面白い。台詞にも峠を越すとかハイキングの言葉が出てきて、自分もあのような温泉場に行きたい気になる。那須連山の三本槍の奥深くにある三斗小屋温泉とか北アルプスの蓮華温泉もあんな雰囲気だろうか。
 色々調べていくとこの作品のリメーク版があると分った。題名は表題の通りに変わったが「完全カヴァー」した作品というので観た。監督は石井克人さん。要するにコピー版ということか。
 主役のマドンナはマイコで当年とって24歳の新人女優だった。一見したところ前田美波里に良く似た現代美人であった。共にハーフで資生堂のCMにも出演するが何か関係があるのではと思わす。徳市役は最近お騒がせの草ナギ剛、福市役は「それでもボクはやってない」で主役の加瀬亨だった。進行は清水宏「按摩と女」とほぼ同じでモノクロとカラー以外の違いを見つけるのは困難であった。初めて観た草ナギ剛の好演に◎を上げたい。
 それにしても松竹の映画を東宝がリメークし、DVDには原作の清水宏作品集(松竹のDVD)の宣伝もあったのが何となく不思議な気分。