上坂冬子さん死去2009年04月17日

 評論活動で活躍された上坂冬子さん(愛知県豊田市出身)が死去された。享年80歳。ネットの新聞で知った。熱心な読者ではなかったが時々雑誌では目を通していた程度だった。
 若い頃、『何とかしなくちゃ』を読んだことがある。単行本では唯一購入した記憶がある。トヨタ自動車のOL(当時はビジネスガールを略してBGと呼んでいたが後に売春婦の意味もあるのでOLに変わる)としてスタートした顛末記だったと思う。
 生涯独身だったからおひとり様のはしりのような人である。職場でお茶汲みに明け暮れていた高卒のOLが発奮して退職し、独立した評論家になっていったのだから凄いと感心をしたものである。
 WIKで著作歴を見て改めて精力的な評論活動を概観した。特に『生体解剖』(1979)から内容がシリアスなものに変わっていく。それ以前は若い女性の生き方的な本が多く見られる。
 最初の『職場の群像』が1959年、『何とかしなくちゃ』が1979年だから10年単位で脱皮していった。本格的な評論の取り組みにはおよそ20年の歳月を要したことになる。10年でテーマを見つけ、資料を収集し、書いて発表。一人前になるには何事も20年を要するのだと思う。