八事の緑2009年04月27日

 26日は北の山が荒れるとの予報で登山は中止。自宅で休養となる。名古屋市内は雲が厚いものの晴れているので本を買いに外出した。玄関のドアを開けると隣りの女の子が何時の間にこんなに背が伸びたか、と思うくらいに成長していた。しばらく見ないので見違えるほど。しかも挨拶もしてくれる。最近まで母親にくっついていたばかりの姉妹が今はもう飛び跳ねるように狭いマンションを駆け回る。12Fからエレベーターを使わず、階段で降りるという。自立心も成長している。若い両親はどうやら投票に出かけるようだ。
 外に出ると雨で空気中の塵埃が洗われて綺麗である。正に風光る、否風薫るか。車で幹線道路に出ると渋滞気味であるが八事から名古屋大学方面に行くと街路樹のハナミズキの白い花と柔らかい緑色が美しい。特に名大周辺は輝くように美しい。ノーベル賞効果でハナミズキまで元気を得たようだ。
 今池に近づくと今度はピンクがかったアメリカハナミズキの街路樹になる。こちらも美しいがビル街なので余り映えない。コインPに駐車。新聞広告で見た『高浜虚子の世界』など文庫本合わせて数冊を買う。山の本のコーナーも見るが食指を動かす本はない。以後自宅に戻って読書。外出前にセットした玄米御飯が炊き上がっていた。早速カレーを作り食す。玄米自体は美味いものではないが排便がホントに楽だ。定年後は玄米食中心に切り替えたい。他に春牛蒡のキンピラなど。これも食物繊維が豊富でヘルシーだ。健康とは体内の循環を促してやること、と気づく。脂肪分の多い食事、酒を飲んでもいいがスポーツで汗を流すことでカロリー消費を促す。登山が健康にいいわけである。
 27日朝刊は河村氏の圧倒的勝利を伝える。ある程度読めていたが実現して嬉しい。公約を果たすのみ。市議の抵抗というが市議も選挙で選ばれる。抵抗する市議は次に落選となるから妥協すると読む。何せ51万票であり、次点を大きく引き離す。これが民意である。
 今朝は清清しい。又、誓子の俳句を思い出した。
     麗しき春の七曜またはじまる    山口誓子

太田和彦『シネマ大吟醸』(小学館文庫)2009年04月27日

 昨日買った本の1冊。副題に「魅惑のニッポン古典映画たち」とある。小津安二郎、黒沢明、成瀬巳喜男、溝口健二、木下恵介或いは市川昆らを巨匠、名匠とか高い評価が与えられている。しかし、島津保次郎、マキノ正博、稲垣浩、清水宏、五所平之助らになるともう記憶に結びつく映画が思いつかない。
 この文庫本は名作や名監督の影に隠れた知られざる作品の紹介が狙いである。裏表紙にも「黒澤、小津を卒業したあなたに贈る知られざるニッポン古典映画の世界。」とうたっている。
 2乃至3のレンタル店や愛知県図書館のAVなどで観たい作品はすべて観たがなにか物足りない。こんなものではないはずと思っていたからこの本が目に飛び込むとすぐに求めた。パラパラ立ち読みしてすでに観た映画は98本の内、見事に殆どない。「丹下作膳余話・百万両の壷」「また逢う日まで」「東京暮色」の3本だけ。レンタル店にありそうなのは「銀嶺の果て」くらい。「小原庄助さん」はスーパーの特設売り場に1000円で売っているのを見た。
 これ等の内販売されていると分ったのは清水宏の諸作品である。水面下にはまだまだいい作品が沢山あることを知って豊かな気分になった。紹介されていた東京・神保町シアター(2007年7月開館)のHPにアクセスすると垂涎の作品が上映されていた。Laputa、新文芸坐などもいい作品が勢ぞろいだ。たまにチエックするがこの所多忙で見ていないと見逃すことになる。そうはいってもおいそれと東京まで映画だけを観には行けない。東京に転居したいなあ、と思う。
 久々に映画への欲求を刺激させてくれた良書でした。これまではもっぱら双葉十三郎『日本映画ぼくの300本』(文春新書)をバイブルにしていましたがもう1冊加わった。
 ちなみに清水宏の評価を調べると俳優に演技させない、自然体で、指示しないそうでこれは小津さんの流儀に似ている。P152を読むと溝口健二の言葉を引用して「清水君は天才です。ぼくや小津君は努力家に過ぎない」と賞賛。小津も清水宏のような天才から薫陶を受けたんだな、と思わせます。1作だけでも観たいものです。