ヒマラヤ登山の伝道者・花谷泰広氏の話を聞く2019年01月20日

 1月19日は今池のガス燈で日本山岳会東海支部の新年会でした。今年の講演会には花谷泰広氏(42歳)を招き、演題は「登山文化の継承と発展」を拝聴。メモを取りながら、早い話、この人も好きなことにしか打ち込めないんだな、と思ったことです。
 山が好きで、信大農学部へ、こんな大学に入学したら、どつぼにはまるようなものでもう抜けられない。その上、ヒマラヤに殉じた田辺治が先輩に居たから花谷さんもヒマラヤの美しさに魅入られることになる。チョオユーの雪の下で後輩の活躍を見守っていることだろう。
 花谷さんの主張ではJACは崩壊するとのこと。未組織登山者は山岳会には入らず、プロに流れるので衰退するだろうとの見解でした。
 JAC崩壊論は昔からあるし内部でも論争があった。東海支部の原真氏(故人)はその第一人者でした。退会後、高所登山研究所をつくって独立。医師(まさにここ今池にある病院で)としての収入を高所登山医学研究につぎ込んだ。東海岳人列伝でも書いたが、原さんはJACに機能体を求めた。しかし、JACは発足以来、基本的には共同体組織として発展している。
 結局花谷さんも無い物ねだりなんだろう。だから自分で起業し、登山を業として生きる。今は個人的な山岳ガイドからは退き、登山文化を社会へ還元するべく奮闘中である。「ヒマラヤキャンプ」を主宰する。
 かつて、神戸には藤木九三が現れ、RCCを育てた。その後は奥山章が現れ、第二次RCCが発足し、日本の登山界に貢献した。花谷さんの頭には日本の山の美はなく、ヒマラヤのみだ。これはもう田辺治の生まれ変わりみたいな人だろう。田辺は「僕がヒマラヤに行くのはただ美しいから」と言った。その田辺教の伝道者なのだ。
 気になったのは、ピオレドール賞を受賞したことだ。かつて谷口けいさんも受賞した。当支部の新年会にも招いた。谷口さんは何でもない山で遭難死した。ロレックス賞を受賞した当支部の篠崎純一さんも何でもない場所で遭難死した。受賞すると第一人者になった気分でちょっとした油断が出る。花谷さんも気を抜かず、常に初心者の積りでに登山に勤しんで欲しい。

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