長靴に腰埋め野分の老教師 登四郎2013年10月16日

 能村登四郎(1911- 2002)の作品。中学校教員。句集『咀嚼音』『合掌部落』など。句作と文筆の両方に才を見せた俳人だった。先生というと今は公務員でも若干高めの待遇で、富裕層というが、登四郎先生の頃は安月給の代名詞だった。でもしか先生と揶揄された時代があった。 ”子に土産なき秋の夜の肩車”、”梅漬けてあかき妻の手夜は愛す”などの佳作を残す。

 野分とは台風の古語。何もないときに読むと、オーバーな気がするが、今日の台風26号のような強風下で歩いて見ると、あながちオーバーでなく、むしろ活写されている。
 西からの強風に思わず、上着が捲れ上がり、飛ばされるくらいの風圧も感じた。それに抵抗せんと前かがみになり、ノロノロ歩むことになった。句では長靴を履いているから降雨中なのだろう。傘を斜めに差しながら、うつむき加減に歩いている姿は、まるで深い長靴に、腰まで埋まるようだ、という見立て。老の言葉に強調がある。

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