詰め腹を切るということ2024年02月04日

 ソース:https://imidas.jp/idiom/detail/X-05-X-18-7-0005.html
辞職・辞任させられるなど、むりやり責任を取らされる。「だれかが責任をかぶらなければ、ということで販売課長が詰め腹を切らされて結局左遷さ」
以上
 2/2の帰り際に同席の人が元豊田自動織機の会社員だったので、「古巣が大変なことになっているね」と声掛けした。「辞めて良かった。居たら詰め腹を切らされていた」と。部下の手柄は上司の手柄、失敗は部下の責任という土壌であろう。
 トヨタの親会社であるから他のグループ会社よりも別格扱いされてプライドも高いだろうと思われる。そんな会社でも認証不正に手を染めてしまった。多くのトヨタ車のファンにショックを与えたんだろうと思う。
 こんな名門企業がなぜって?

 つらつら考えるとトヨタは世界での競争に勝ち抜いてきた。トヨタを追いかけるライバルが実質存在しない。ライバルは世界一のその慢心ではないか。

 2009年6月1日に世界一のGMが倒産した。
 トヨタは1968年に国内生産100万台を達成。それから48年後の2016年に1017万5000台に到達。
 世界の3大自動車グループの2016年世界販売はフォルクスワーゲン 1031万2400台、GM 996万5238台。
 トヨタはまずGMに勝った。2019年にワーゲンは1097万台まで伸ばしたが2015年以後はディーゼルエンジンの計測値の不正がばれてジり便になり、2022年には826万台まで落ち込んだ。ワーゲンにも勝ったのだ。
 日本のトヨタから世界のトヨタに名実ともに達成したのに。
 
 トヨタの経営難には至れり尽くせりの支援と恩典が与えられてきた。
 戦後の経営危機では日本銀行名古屋支店が市中銀行に呼び掛けて協調融資の音頭をとった。そして日銀再割引の恩典が付与された。市中銀行はトヨタが振り出した手形、裏書きした手形は日銀で割引ができる。流動性があるので信用は一気に高まる。協調融資銀行団は5000人の従業員の内1500人の人員整理を断行させた。代わりに協調融資でトヨタを支援。
 円高になるとドル買い円売りで支援。ドルは米国債に化けた。
 財務省は、1989年(平成元年)4月1日、日本ではじめて消費税3%を導入した。入れ替わりに昭和63年に20%の内税だった物品税が無くなった。これだけでも17%の減税である。
 当時の円は137円だった。1990年の法人税は40%だった。トヨタはお家芸のコストダウンで儲けても儲けても為替差損で利益を減らしていた時代だ。
 この時から直間比率の見直しの掛け声で消費税率増税と法人税率減税が始まった。しかも輸出車両の仮払い消費税は還付されるという恩典も与えられた。 
 世界と競争する企業の為替差損を支援するためだろう。トヨタには恩恵も大きい。
 2009年には豊田章男氏が社長に就任。アメリカで大量リコール、営業赤字4300億円、と大波乱でスタート。14年目の2023年に退任。
 地方自治体などがプリウスに補助金を支給したり、自動車税を免除して、増販促進を図る。日本経済のカネをを回す。こんなにもして経営に下駄をはかせるのも日本経済のエンジン役を担う基幹産業なればこそである。トヨタ自身の努力もあるが社会的に大きな支えがあることを自覚するべきだろう。

 豊田章男会長の双肩は重い負荷がかかった。