残雪の北尾根から桑崎山に登る②2023年04月02日

 起床は午前4時。靴下はウールの厚手の物に履き替え、下着は冬山用に着替えた。厚手のアウターと冬用のヤッケなどに身支度をを整え宿の2階から降りて車に乗る。出発は5時19分。登山口までは車で移動。これまで2回来ているのですぐ分かる。2回とも夕顔の駅からスキーで歩いたが今回はその分楽できた。
         キックステップで残雪の尾根の登攀を楽しむ
 ザックを整えて5時36分に出発。計画ではアイゼン、ピッケル必携だったが、自己判断でスリーシーズンの登山靴とスパッツとストックにした。残雪期でも凍結はある。むしろ日中の気温で溶けた表面がクラストするので凍結しやすい。それでも重たい重登山靴にアイゼンはやや装備過剰かと思った。キックステップで身軽に登りたい。
 林道をしばらくは土が出ていたが最初のカーブから残雪におおわれていた。雪が解けたところにはフキノトウが沢山でていた。早くも下山時には採取する話をしていた。雪面は風の当たるところはクラストして沈まないが日当たりのいい所では多少沈んだ。1400m地点で長い林道歩きも終わった。
 地形図のヘアピンカーブで他のメンバーはやおらアイゼンを装着した。ヘアピンカーブは小沢になっていて雪解け水が音を立てて流れている。地形図の破線路が1568mに続く尾根への林道になっているがWリーダーは北側に拘り、杉の木立に分け入り、すぐに渡渉して破線路のある尾根の一本北側の尾根に取り付いた。
        ブナ、ミズナラの原生林の風景に酔う
 杉木立で日陰になるせいか残雪はつながっていた。両側の谷は意外に深く雪解け水が流れている。滑落すると急斜面を滑って谷に落ちる。慎重な登りになる。何とか無事に1568m峰にたどり着いた。太い幹の一本だけの桧がたっている。この間も赤布を付けて下山の目印を怠らない。
 1568mから桑崎山につながる等高線の緩やかな尾根はブナ、ミズナラなどの原生林が広がった。夢のような源流地帯である。金木戸川の支流の深洞の源流は物差しで10㎝縮尺2㎝で300mなので約1.5mは緩斜面のブナの疎林の源流地帯が広がっているはずだ。また来る機会が得られるだろうかと後ろ髪惹かれる思いで尾根をたどった。
 地形図では細い尾根に見えるが残雪のせいか自在に登って行ける。尾根の端緒には雪面に大きな熊の足跡がくっきり残っていた。途中若干痩せ尾根になるが雪のお陰でスムーズに登れる。山頂直下の尾根の広がった辺りではキックステップで斜登高を楽しみながら登った。辿り着いた平坦な山頂は疎林の広がる高原風だった。
 9時50分、GPSで三角点付近に到達を確認したが山頂標らしい目印は皆無だった。先行していた人が南東の尾根の広いところへ行って展望が良いと叫んでいる。皆もそこへ行った。
         無風快晴の飛騨の展望を楽しむ
 弥、すごい景色が広がった。遠望することの多い北アルプスの名峰群がここからは指呼の間に見える。
 約10kmの至近距離にあって、かぶさるような黒部五郎岳はやや丸みのある三角錐。スレンダーな三角錐は笠ヶ岳で、約10kmの至近距離にある。何枚もシャッターを押してしまった。それだけではない。
 槍ヶ岳が真っ黒な三角錐で存在感を押し出している。たおやかな乗鞍岳、チャオスキー場が傷跡に見えた御嶽山、黒っぽく見える恵那山のドーム、西には白山がほほ笑む。
 あれは金剛堂山かと目を凝らす。地形図に物差しを当てると約27㎝、2.5㎝で3kmなのでちょうど30kmの距離にある。
 山頂滞在が久々に長居になった。それだけ楽しんだ。初めての残雪の桑崎山を堪能できた女性メンバーも大いに喜んだことは言うまでもない。出発前にはっさくの皮を剥いて実だけをパックにしておいたおやつを提供したら喜んで摘まんでもらった。春山は意外に喉が渇くから酸味がある柑橘系のフルーツの果汁が嬉しい。2個分のはっさくがあっというまに平らげた。
 さて、まだ11時20分である。山頂への名残り惜しい気持ちを抑えてそろそろ下山となった。Wリーダーが付けた赤布が寸分の迷いもなく下山ルートをたどれる。GPS利用以前の間違いのない山の歩き方である。
 桑崎山の山頂直下はしばらくは残雪の上を自在に下れるが尾根は次第に痩せてくるので自然と急にもなる。そしてあのゆるやかな源流地帯へと下る。
 1568mへ登り返すといくつかある尾根のうち赤布を付けた尾根へと導かれる。途中でアイゼンを外す。待っている間に風に乗って獣の臭いがただよう。近くに熊でもいるのか、と。
 残雪が段々少なくなって笹や枝をつかみながら下る。小さな渡渉を終えると林道に出た。フキノトウを摘みながら下山した。14時18分に登山口に到着。オーナーは留守だったが宿で入浴もさせてもらった。宿ではゆったり休んだ。20時無事に帰名。

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