登高(高(おか)に登る) 杜甫2021年03月26日

『杜甫詩選』(岩波文庫)

風急に天高くして猿嘯哀し
かぜきゅうにてんたかくして えんしょうかなし

渚清く沙白くして鳥飛び廻る
なぎさきよく すなしろくして とりとびめぐる

無辺の落木蕭蕭として下り
むへんのらくぼく しょうしょうとしてくだり

不尽の長江は滾滾として来る
ふじんのちょうこう こんこんとしてきたる

万里 悲秋 常に客と作り
ばんりひしゅう つねにかくとなり

百年 多病 独り台に登る
ひゃくねんたびょう ひとりだいにのぼる

艱難 苦だ恨む 繁霜の鬢
かんなん はなはだうらむ はんそうのびん

潦倒 新たに停む 濁酒の杯
ろうとう あらたにとどむ だくしゅのはい

・・・重陽の節句の詩。中国では、重陽の節句(9月9日)に郊外の丘など高い場所へ、家族や友人たちとピクニックに出掛け酒を飲む風習があった。これを「登高」という。
 俳句にも高きに登るとして取り込まれているが、9/9からは離れた気がする。
   登高の掌上に載せ近江富士 鷹羽狩行
・・・句意が今一不明だが、近江富士の頂上に着いて手をついて逆立ちでもしたんだろうか。或いは別の山に登り、遠望する近江富士を手のひらに載せて景色を楽しんだか。