映画「暖流」鑑賞2010年01月18日

1939年製作。松竹オンラインから。吉村公三郎監督28歳の時の映画。 70年も前の映画のせいかフィルム状態は悪いがぐんぐん引き込まれる内容のある物語でとてもいい。俳優も適材適所。病院を経営する一族の人間関係を中心に男女の心のすれ違いを描いて言うことのない傑作。
 1941年に小津映画の「戸田家の兄弟」が製作されるが高峰三枝子、佐分利信、両親の役など家族はほぼ踏襲されているかに思えた。「ふみや」というお女中の名前まで同じに思える。
 この映画も鎌倉が舞台で最後には1939年当時の由比ヶ浜辺りが映像に見える。結局高峰と佐分利信との悲恋に終るが愛を育てた水戸光子も健気で可愛い女性を演じて好感を持つ。当時まだ20歳だったという。高峰は21歳、佐分利は30歳と若かった。
 吉村監督の映画は山本富士子主演「夜の河」原節子主演「安城家の舞踏会」山口淑子主演「わが生涯の輝ける日」香川京子主演「大阪物語」などを見たがどれも佳品であった。まだ「偽れる盛装」「千羽鶴」など観たい作品は多い。