鈴鹿・静ヶ谷から静ヶ岳~銚子岳の尾根を歩く2011年11月13日

 沢納めのイベントと言っても参加者は3名のささやかなもの。12(土)の夜発でとある場所でテントビバークする。満月の夜である。冷たい空気が北から流れているせいで雲が黒い。例年なら時雨のころか。
 30年以上も鈴鹿の山で遊んできた。初心者時代の昭和52年頃に鞍掛トンネルが工事中だったこと以外は余り大きな変化はなかった。近年になって高速道路のトンネルが貫通したり、新たに石槫峠直下のトンネルが開通したのだ。
 峠道の三重県側の車道は無理があったので開通が待たれていたと思う。R421は場合によっては名神高速が不通になった場合のバイパスになりうる。今回は初めて通行できた。

寒さより守られてゐるテント内

鈴鹿なる山月いよよ冴ゆるなり

みなもとへ水枯るるまで溯る

寂しさや黄葉且つ散る静ヶ谷

冬黄葉滝を彩るにはあらず

冬滝の右も左も阻まれり

落石の声が響くや冬の谷

冬滝の飛沫にあへて挑むなり

冬の谷ザイルを繋ぎ登攀す

冬の木や懸垂下降で谷に立つ

みなもとは見渡せばみな枯木立

冬山で食うおにぎりのぽろぽろと

声がして女三人や枯木山

人恋しおみな消え行く枯木尾根

山にある池やセキオノコバの冬

冬雲に覆われてゐる御池岳

山眠る藤原岳のコブ三つ

枯れ尽くす銚子岳なる図根点

風吹けば黄葉且つ散るばかりなり

木枯らしにしばらく耳を澄ましをり

*黄葉且つ散るの季語は秋の季語ですが季節進行の遅い今年は立冬以後もあえて用いています。