銀杏峰から部子山へスキーツアー2009年03月08日

奥越銀杏峰の名松新道から見た白山と大野盆地
 3月に入り、土曜勤務がまた始まった。リーダーのW君との待ち合わせも約束より40分ほど遅れて名古屋を出た。買い物は長良川SAで済ます。白鳥ICを出て油坂峠を行くが雪のかけらも無い。
 福井県に入ってやっと路傍に残っていた。R158は近年もう何度も走った。そして今夜の泊まりはまたあそこにしようと決めた。東屋の中にテントを張り、軽くやって就寝。
 午前4時、けたたましいベルに起こされる。2回目でえいやっと起きた。カップ麺を啜り、テントを片付けて5時過ぎ出発。R158で大野市に着いて宝慶寺への道を探す。すぐに見つかり、左折。薄ぼんやりと銀杏峰と部子山が見える。真っ白である。周囲には雪のかけらも無い。
 宝慶寺は地名でもあり、廃村のようだ。古寺があるようだが冬の間は拝観出来ない。銀杏峰への案内にしたがって左折する。林内の舗装路を登って行くと広々した憩いの森に着く。ここが銀杏峰の登山口だった。先着の車が2台、テントの若者達が準備中であった。
 我々もスキー板をザックにセットして名松新道を6:40出発。名前の通り松の多い尾根である。よく整備されて歩きやすい。樹林越しに大野盆地を眺めると目の前にマンサクの花が咲いていた。先ず咲くから万作というらしい。すぐに林道と交差し、林道の一部を歩くと登山口の看板があり、雑木林の尾根へと導かれていく。
 北斜面のせいで残雪が若干はあった。700m付近からは徐々に増えた。横の広がりもある。雪は一面に残っていた。見返りの松などの名前いりで紹介される。900mからは急斜面になり、雪も固い。1150mの前山は尾根上の展望台の趣がある。白山が良く見える。荒島岳も名山の名にふさわしい堂々とした風格がある。単独のテレマーカーが登ってきた。
 前山1150mからは一段と雪も増えた。高度を上げてゆくと霧氷も見えた。そこからも写真を取り捲った。余りにも美しいからだ。山頂の一角が見える広場に着いた。信じられないほどの残雪があった。山麓から白く見えたのは新雪が降ったからだろう。
 10:40山頂に着く。山頂には単独のテレマーカーが先着していた。そして部子山へ板を履いて巧みに滑って行った。我々も山岳同定もソコソコに11:12出発。快晴なのでサングラスを着けた。スキー板は担いだままつぼ足で歩いた。一旦凹地に下り、登り返したところで板を履く。今回は登り重視で登山靴にしたがやはり山スキー専用ブーツにするべきだった。誤魔化し誤魔化し滑る。1294mの独立標高点を越えて、部子山への最低鞍部に11:55着。1255mで山頂へは標高差200mほど。12:15出発。最後の力を出して登頂に向う。
 アイスバーンだがスキー向きの好斜面が続く。ジグザグを繰り返しながら12:55部子山登頂。銀杏峰より若干高いだけだがこちらの方が好展望である。何より白山がいい。大野盆地を眼下に大らかな山容の白山が横たわる。心なしか黄砂の影響で黄色っぽい気がした。大長山、取立山、越前兜、加賀兜(大日山)の加越国境の山々、石徹白の山々、鷲ヶ岳の連嶺、その向うには槍穂高連峰、乗鞍岳、御岳山、能郷白山と越美国境の山々、伊吹山と養老山脈が丸見え。思う存分山岳展望を楽しんだ。
 単独のテレマーカー氏が写真を撮ってくれた。我々もお礼に撮ってあげた。先行して滑降していった。テレマークスキー独特のフォームがあっという間にシュプールを残して消えた。山頂は我々2人だけ。W君はご満悦である。しかし、下山を急ぎたい。明るいうちに滑りたいので下山を促すと名残惜しそうにスキーを着けた。14:00、彼もあっという間に滑って行った。雪質は懸念していた最中雪でなくむしろ最高の雪質である。
 登山靴の紐を固く締め直す。同時に細引きで靴底と足の甲、足首を締めて固く結ぶと結構固定感がした。固そうに見えた斜面も好天で無風のために緩んだ。山頂の霧氷がシャリシャリと音を立てて落ちたから気温は上がったわけだ。エッジ(角付け)がよく利く。
 山頂付近の狭いバーンから最大傾斜線の広いバーンを思い切り滑降する。最低鞍部には10分余りで着いた。ここから1294mを越えて次のコブまで登り返す。コブからは尾根を北へ滑る。藪はないが木立が狭く、時折谷に迂回しながら滑る。斜滑降、後への斜滑降、サイドスリップなど小技を使いながら地形図で最も林道に近い尾根を右折。林道へドンピシャリで下った。ラッキーだった。否W君のRFに軍配を挙げるべきか。
 後はひたすら雪のある限りは林道を滑走する。脱いだり、着けたりを繰り返し、16:55、憩いの森に着いた。
 平成の湯に疲れを癒して名古屋に帰った。空腹を抑えるために軽く食べたおろし蕎麦がとても旨かった。越前は蕎麦の名産地なんだと思った。今庄IC近くで食べた蕎麦を思い出した。午後8時のETC割引に間にあわすためにハイスピードで疾走して無事白鳥IC入り。今日は名物の渋滞もなし。ゲレンデスキーのシーズンも終ったのかな。
追記
 9日の朝、髯を剃ろうと鏡で顔を見ると赤く雪焼けしていてびっくりした。スポーツで汗を流した日の皮膚はつるつるになる。髯も剃刀がよく滑るので綺麗に剃れた。
    麗しき春の七曜また始まる    山口誓子