鑑賞 浅野梨郷の歌⑤ ― 2015年07月04日
歌集『豊旗雲』(昭和31年刊、武都紀叢書)から
やはらかくふくれあがりし辛夷のつぼみ朝光にきほいひらかむけはひ
*これも千登勢夫人の作品。浅野家の書庫のある庭に大きな辛夷の木があったことは依田秋圃の歌で知った。夫人もいくつも詠まれているから好きだったのだろう。
梨郷は泰山木の花も詠んでいる。白い花、白い雪の山に感性が働くのだろう。梨郷が生まれた東区は白壁町なる地名があった。本名は利郷だが、梨郷の号を名乗った。梨の花も白い。
これは偶然とは思うが本居宣長の嗜好にも共通する。山桜の白い花、近くの里山で松阪市から見える白猪山、転じて潔癖さだろうか。「からごころ」を嫌い、生まれたままの素直な心を取り戻せと言った。もっと読み込まないと梨郷の真実は見えないが・・・。
さて、きほいはきほふ、であって、競うの古語。歌意は辛夷のつぼみが膨れて朝の光と競うように開花する気配だよ。わざわざひらがなを多用して優しい気持ちを表現してもいる。
やはらかくふくれあがりし辛夷のつぼみ朝光にきほいひらかむけはひ
*これも千登勢夫人の作品。浅野家の書庫のある庭に大きな辛夷の木があったことは依田秋圃の歌で知った。夫人もいくつも詠まれているから好きだったのだろう。
梨郷は泰山木の花も詠んでいる。白い花、白い雪の山に感性が働くのだろう。梨郷が生まれた東区は白壁町なる地名があった。本名は利郷だが、梨郷の号を名乗った。梨の花も白い。
これは偶然とは思うが本居宣長の嗜好にも共通する。山桜の白い花、近くの里山で松阪市から見える白猪山、転じて潔癖さだろうか。「からごころ」を嫌い、生まれたままの素直な心を取り戻せと言った。もっと読み込まないと梨郷の真実は見えないが・・・。
さて、きほいはきほふ、であって、競うの古語。歌意は辛夷のつぼみが膨れて朝の光と競うように開花する気配だよ。わざわざひらがなを多用して優しい気持ちを表現してもいる。
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