鑑賞 浅野梨郷の歌④ ― 2015年07月03日
歌集『豊旗雲』(昭和31年刊、武都紀叢書)から
みはるかす伊吹高嶺に春を尚班雪みえつつ日照りあまねし
*この歌集は前半が梨郷、後半は千登勢夫人の構成で共著になっている。この歌は千登勢夫人の作品。しかし、タイトルは梨郷のままで通す。昭和22年に死去。享年51歳だった。愛妻家だった梨郷には痛恨の極みだったにちがいない。梨郷58歳の不幸。
早春の伊吹山を的確な写生で把握。言葉の斡旋もよくリズミカルに韻をふむところがいい。名古屋人にとって伊吹山が変って行く様は日常であろう。とりわけ雪が日々消えて行く春は愛おしくもある。麓では桜咲く春というのに山ではまだ斑になって残るのが見える。それでも春の日差しはさんさんとふりそそぐことよ。日照りあまねし、とする結句も女性らしい潔さがある。班雪の伊吹に春を惜しみ、春の光を迎える喜びの歌といえる。
みはるかす伊吹高嶺に春を尚班雪みえつつ日照りあまねし
*この歌集は前半が梨郷、後半は千登勢夫人の構成で共著になっている。この歌は千登勢夫人の作品。しかし、タイトルは梨郷のままで通す。昭和22年に死去。享年51歳だった。愛妻家だった梨郷には痛恨の極みだったにちがいない。梨郷58歳の不幸。
早春の伊吹山を的確な写生で把握。言葉の斡旋もよくリズミカルに韻をふむところがいい。名古屋人にとって伊吹山が変って行く様は日常であろう。とりわけ雪が日々消えて行く春は愛おしくもある。麓では桜咲く春というのに山ではまだ斑になって残るのが見える。それでも春の日差しはさんさんとふりそそぐことよ。日照りあまねし、とする結句も女性らしい潔さがある。班雪の伊吹に春を惜しみ、春の光を迎える喜びの歌といえる。
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