黒津山は返り討ち~春北風(はるきた)の吹く尾根を歩く2018年02月19日

        厳寒の坂内村へ
 2月17日の夜、集合地の某所で4人が合流。一路、揖斐川に沿うR303を走る。往き交うクルマはほとんどない。揖斐峡に入ると雪が増えた。トンネルと橋で貫く夜の国道は風雪の状況になった。ふじはしの湯ある道の駅もクルマは見あたらず広大なPも真っ白になった。路面も白い。
 横山ダムに向うと風雪は強まった。奥いび湖を橋で渡ると坂内村だ。道の駅のPももちろん真っ白で風が強い。その一角にテントを張ってビバークする。ファミリーテントなのでは折々強風が吹くと大きくゆれた。寒いので宴会もなく早々にシュラフに潜った。
 2月18日、朝3時45分に小用で起きた。すぐに4時なので眠ることもなく出発に向けての準備に入る。お湯を沸かして簡単な食事をとる。テント撤収、身支度を整えて出発だ。旧役場の庁舎裏に登山口があった。というもの山城への遊歩道の案内である。地形図で461mの独立標高点が広瀬城跡という。
        春北風の吹く尾根を登る
 役場裏のPは除雪されていたが尾根の入り口は残雪があってワカンを付けた。午前6時15分出発だ。道標は1か所あったが竹林の斜面の道は雪で分からず適当に登って本来の登山道が雪に埋まり、その足跡に合流した。
 尾根にたどり着くと照葉樹林(あせび等)と杉の間の雪の上を登った。461mの城跡に達する。とっくりのセーターを脱いで体温調整する。しばらく歩くとそれから先は明るい雑木林の尾根になった。また城跡まであった歩道がなくなったせいか、夏道のない尾根は枝が行く手を邪魔してうるさい。登るにつれて雪が増えた。雪で明るい林は気持ちが良い。先頭はワカンで踏みしめてラッセルしてくれるから後続はさほど潜らず楽に登れる。踏み代は20センチくらいか。
 ときどき北風に乗って雪が舞う。ああ、これが俳句の季語にある春北風(はるきた)だ。北陸では暴風雪であろう。雪雲が奥美濃の空を黒く覆う。福井で雪を降らせた後北西の季節風に乗って、越美山地に吹いてくるのだ。この寒風のせいで尾根の雪も固く締まっているのだ。
        積雪が増えた尾根を歩く
 標高937mの南の900m辺りに第一の難渋場面があった。春北風のもたらす吹き溜まりが雪庇のように壁になってゆく手を阻んだ。ストックしかないと突破は難しい。先行者は1本の木があったのでそれをつかんで足場になる雪を崩して乗り越した。するとまた穏やかな尾根になり937mのコブを越えた。ここだけならスキーを持ってくればよかったと思う。
 4等三角点969.9mの「片手」は北西の季節風の影響をもろにうけて雪の壁が発達していた。先行者は躊躇していたが、左へステップして乗り越した。ヒラリーステップをもじって○△ステップとジョークを飛ばす。
 時計を見ると既に11時になった。行動予定の持ち時間は6時間と決めている。あと1時間しかない。せめて前衛のアラクラという1163m峰まででもと思う。
         アラクラの手前で撤退
 結局は1050mの等高線を越えて1080mの小さなへそのみたいなコブで12時となった。持ち時間を目いっぱい使ったがアラクラまでも踏めなかった。アラクラはすぐ目の上に聳え、黒津山ははるかに遠くにたおやかな稜線の上に見えた。
 遠い山だと思う。2011年3月に親谷から山スキーで登ったが稜線直下で6時間に達して撤退した。今回はリベンジだったが返り討ちにあった。藪が残雪に抑えられているこの時節でも6時間では登れないと悟った。大谷川の林道350m地点から4等三角点「荒倉」882.3mを経由すれば比高100mは楽できて尾根の長さも約半分と短い。残雪期だからといって優しい山ではない。
 ここで記念撮影だ。幸いにも青空が見え隠れして天気は良くなる方向である。金糞岳、貝月山と鍋倉山、その向こうの伊吹山、横山岳、高丸、烏帽子岳、すぐ近くには湧谷山、蕎麦粒山が見えた。しかし、何と言っても天狗山が左右に均整がとれて素晴らしい。それらを背景に撮影。黒津川源流の斜面はみな落葉樹林で覆われている。黒津と天狗の稜線も同じ落葉樹林である。
         青空を背景に聳える天狗山を見て下る
 下山を開始するとこれまでの景色が反対になる。尾根から眺める天狗山の山容は改めて素晴らしいと思った。黒津山から天狗山間を1日で駆けた韋駄天のような山やさんの記録もある。この眺めをみるとその野心も湧いてくるだろうに。この眺めに癒されたのか、登頂はできなかったが満足したという同行者のコメントにこちらも癒された。

コメント

コメントをどうぞ

※メールアドレスとURLの入力は必須ではありません。 入力されたメールアドレスは記事に反映されず、ブログの管理者のみが参照できます。

※なお、送られたコメントはブログの管理者が確認するまで公開されません。

※投稿には管理者が設定した質問に答える必要があります。

名前:
メールアドレス:
URL:
次の質問に答えてください:
日本で一番美しい山は?
ヒント:芙蓉峰の別名があります。

コメント:

トラックバック