新緑の太尾から竜ヶ岳へ(南のコブでUターン)2013年05月12日

 減少傾向の続いたわが会にも40歳代の新人の入会を得た。久しぶりに歓迎会の宴をもうけた。場所は計画では奥美濃の冠山峠であったが、雨の予報で急遽変更し、鈴鹿の朝明山荘を貸切で利用させてもらった。

 5/11(土)は朝から雨で出発も12時に延期した。R1でトロトロ走って午後3時に会場へ着いたが、もう準備は大方終わりかけていた。生鮮食品が安いことで知られるTスーパーでしっかり買い込んでいる。今までにない分厚いブリの刺身はてんこ盛りだった。他にも野菜の天ぷらなど食べきれないほどの量が用意されていた。
 それで一杯やりながら自己紹介を相互にやる。ところが今の若い人は仕事で大変忙しい。また、他のしがらみも多いので夜の内に帰っていった。明日の山行も旧人だけでやることになった。

 5/12(日)、午前5時誰かの目覚ましがなる。外を見ると昨日と打って変わって快晴である。山の間から水蒸気がまっすぐに上がってゆく。時折、乾燥した爽やかな風が吹く。昨夜の残り物を片付けながら朝食を済ます。

 それぞれのマイカーで登山口に向かう。R306からR421へ左折。石榑トンネルをくぐると右へ茨川林道の入り口を見落とさないように曲がる。最初は舗装路も橋を渡ると未舗装路になり、昨日の雨で水溜りができている。そこをロデオよろしく走る。

 折戸トンネルの手前まで偵察に走るが顕著な道筋はなく、少し戻って適当に植林内を登り・533mに着く。そこからは尾根通しにあるかないかの踏み跡を追って登った。赤テープなどのマーキングも乏しいので地形図で確認しながら歩く。主尾根に合流後は・770mまで新緑の尾根を彷徨しながらの探索行であった。特に段々尾根が広がり、等高線も緩むところから「太尾」の名称もなるほどと合点がいく。池というには水深がないが、山上の池は神秘が漂う。
 また地形図で見る想像以上に広い枝尾根が又川に下っている。ツエルトを張って一夜を過ごせば、シカの物悲しい鳴き声に寂しさを感じる孤独な自分を発見するだろう。
 ・770mは過ぎたのかどうか分からないうちに通過した。何せ登山道はない、踏み跡もかすかではRFに神経を尖らすだけで精一杯だ。やがて地形図でも込み入った等高線の箇所、白谷越えに着いた。ここからが最後の登り返しになり、しかもキレット、ザレ場の通過が待っている。ザレ場では恐がるメンバーもいたのでWさんがザイルを出した。ザイルを手にするだけでも転落の恐怖感が後退するものである。
 少しヤブっぽい尾根の獣道を追いながらの登高を続ける。尾根の形が崩れてからは山腹の獣道を拾う。いくらかは歩きやすいからだ。登りきると・962mに着いた。後標高差で130m、40分くらいで山頂と思ったが、メンバーに足の痙攣が起きて、石榑峠へ下る希望者がでてきた。単独じゃ危険なので全員で下ろうと言う希望もでてきたので、「パーティを割るな」という基本のキに従って、標高1000mの等高線辺りで全員が引き返すことを決断。見ると登り30分も掛からない距離にあるが、リーダーの決定に従う。ここを「前竜ヶ岳」ということにした。
 下山はKさんとWさんが付けて来た赤い布を確認しながら下るから早い。登るときはRFをともなうので遅々とした登りになるが、赤布の威力である。ザレ場ではまたザイルを出して下った。白谷越えまでは早いこと。・770mへの登りかえしも問題ない。
 登山道なき新緑の太尾を彷徨う。広い尾根から狭まって、次の課題は・533mの枝尾根への分岐である。ここを注意しながら歩いたのであるが、分岐点のコブを巻いて・684mの主尾根に迷い込んでしまった。いつまでも右手に静ヶ岳が見えるのはおかしい。地形図とコンパスでも北進するのでおかしいと気づく。
 しかし、赤テープやマーキングは頻繁にあるので疑いながらも直進してしまった。茨川林道へ突っ込む尾根になってから、登りかえしのないはずの尾根が軽く登る。途中から急になり、ヤブっぽいので引き返し、基本のキである確信の持てるところまで戻ることにした。それでもメンバーの中には見覚えがあるというので困惑する。それが道迷いの恐さである。リーダーがしっかりしないと全員がパニックになる。楽しい登山が悪いほうへ悪いほうへと暗転する。
 これまでに数多い遭難を見聞してきた。例えば、道迷いでは必要以上に行動し、体力を消耗する。食べ物、飲み水がなくなる。暗くなってもビバークの決断ができず、ヘッドランプをつけての下山で転落死。RFのために木に登ってみたが枯れ木だったために折れて転落死など。
 主尾根から枝尾根をチエックしながら戻ると赤テープの多い箇所に着いた。ここだ。左を見下ろしたが下の赤いテープを見落としたようだ。踏み跡は薄いが先ほどの主尾根と違い、踏まれている。記憶のある太巻きのテープも発見。地形図と実際の方向感覚が一致してきた。
 太尾でメンバーの痙攣のために先発後発の2パーティに別れ、急ぐメンバーは先発としたが結果的には後発に先を越された。我々だけのパーティならばそのまま林道へ下る判断もできたが、別パーティが今度はどうしたかと心配をするので戻ることにしたのであった。
 ・533mに着いた。登るときはバラバラに適当に登ったが、下りでは踏み跡に忠実に従った。下に茨川林道が見え、後発グループと呼び声も交わした。後発に25分遅れて、無事帰還した。
 今回は新人をともなうことは適わなかったが、バリエーションルートを登ることで、登山の基本を確認できた。
・リーダーはしっかり自分の方針を伝え導く
・パーティを割るな
・道のない尾根では赤い布で帰路を確保し回収する
・ザレ場ではザイルを出す
・登山計画書のコースは変えない
・事前の地形図の確認で地理感覚を養う
  地形図、コンパス、高度計でチエック
  肉眼で見える山を同定する
・道に迷ったら確信の持てるところまで戻る
  古い赤テープに惑わされない

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