初見・歌舞伎ってこんなに面白かったの!2012年10月10日

 10/2から始まった御園座の顔見世興行。プログラムを見ると「中村勘太郎改め六代目中村勘九郎襲名披露『第四十八回吉例顔見世』」とある。この前9月末に大須観音界隈で「お練り」が行われたばかり。そこへ行ったこともある。要するに歌舞伎界の世代交代である。
 13:30から「伊勢音頭恋寝刃」は伊勢参りで賑わった古市で起きた刃傷事件を題材にした演目である。これは御園座主催のバスツアーで故地を巡ってきたのであらすじは分かった。
 勘九郎扮する貢と遊郭の人間模様を描く。名刀を差替えるなど、段々、悪巧みに嵌められてゆく勘九郎の心理描写と大胆な動作、演出が際立つ。そして、妖刀を以って万野に当てるが鞘が割れて、真剣がむき出しになるところから、核心部(クライマックス)に入ってゆく。刀の妖しい力で次々、殺傷してゆく。
 舞台設定は役者の着るものが浴衣だから夏であろう。白い浴衣が血染めになって、舞台狭しと乱闘する。しかし、そこは歌舞伎であって、時代劇のような殺陣にはなっていない。オーバーアクションで切った逃げたの場面が分かる。幕切れはあっけなく終わる。この言葉も歌舞伎由来でしょうか。そこに江戸文化がある、博多人形のような役者が喋っている、まさに非日常の世界に遊んだ感じでした。

 16:00から「鬼一法眼三略巻(きいちほうげんさんりゃくのまき)」は「菊畑」の副題がある。雰囲気ががらりと変って浄瑠璃とかいう出し物。琵琶を鳴らす。菊を飾り立てて華やかな舞台が際立つ。様式美を意識する。これは秋の演目。

役者が勢ぞろいしての「口上」も迫力がありましたね。

「義経千本桜」は「道行初音旅」でこれも様式美が素敵だった。舞台には吉野山にふさわしく春爛漫とした桜で彩られた。華やかな感じがする。
 能、狂言、浄瑠璃が渾然となった出し物である。初音はウグイスの初鳴きのことで俳句では春の季語になっている。源氏物語の第23帖「初音」に由来する。
 WIKIにも「江戸時代の教養人の子女は『源氏物語』を「初音」から学んでいった。3代将軍徳川家光の長女千代姫(当時数え3歳)の婚礼調度の一つ、国宝「初音蒔絵調度」は、初音の巻に取材したものである。」とある。国学者・本居宣長は町の衆に「源氏物語」を教えていたというからこの作品の成立も江戸時代末期であろう。

「川連法眼館」は勘九郎が狐に扮して、舞台狭しと、大活躍。舞台装置をあるだけ使っての熱演に観客も大喜びだった。
 御園座を出ると「ああ!良かったわね」と女性客の声が漏れた。もっと予備知識が欲しいと思う私です。

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