錦秋の勢和国境の山を歩く~気になっていた台高山脈北部の空白を歩く2025年11月08日

 まだ伊勢道も開通していなかった頃、名古屋市から延々R23からR166を走って、50歳の前に高見大峠から高見山に登った。Pから高見山を往復するだけならお散歩程度だったから行ける所まで行ってみようと台高山脈縦走路を南下してみた。するとハッピのタワでちょうど良い時間になった。
 後日台高山脈縦走を企てたが乗って来る人はいないので50歳のGWに体力試験として実施した。この時はマイカーで大又へ行って、大台ケ原へ下山後は近鉄吉野駅から大又までバスを利用した。これで周回できる。
 当日は大又のバス停付近の空き地にデポ。伊勢辻山に向かった。予定通りとは行かなかったが何とか大台ヶ原へはたどり着けた。そして無事マイカーも回収できて帰宅した。
 以来気になっていたのがハッピのタワから伊勢辻山間の空白部分である。2021年11月20日には木梶山をからめて念願の空白部分を埋める山行をしたが木梶林道への入り口が廃道に見えてパスしたために大幅にロスしてしまい、木梶山往復だけになった。だから4年ぶりの台高山脈ということになる。
 名古屋は朝5時過ぎに出発。伊勢湾岸道は東海ICからいせ川越ICまで利用、あとはR23から中勢バイパスで松阪市までスムーズに南下。R166へ入って約65kmの道を走る。
 先回の学習効果で木梶林道のPにはスムーズに着いた。以前は無かった簡易舗装までしてある。先着は4台あった。朝飯、用足しなどで道草を食ったせいで9時40分過ぎに出発。足早に飛ばすがちょうど紅葉、黄葉の盛りで美し過ぎて撮影に忙しく先へ進めない。全山人工林のイメージしかなかったが来る時が良いと素晴らしい景色に当たる。
 ハッピのタワの入り口の標示で谷筋の道に入るが不明瞭で行きつ戻りつしながら短いスパンのジグザグの踏み跡に入る。しかも急峻な斜面である。GPSを見ても忠実には辿れていない。いつしか無意識のうちに破線路のトラバース道を辿る。小さな谷の入り口にハッピのタワへの標示があったのだが見落としてトラバースの道を辿り、倒木でやっとおかしいと気づいた。GPSを見ると外していることが分かって引き返した。約150mのロスだった。
 正しいルートは水の無い谷を辿る。やっとの思いでハッピのタワに着いた。タワは峠の意味であるが見た目には地形的にはたわんでいる。辿り着いてすぐに乗り越すイメージではなく、結構広い。
 さあ、いよいよ空白部分の縦走路の山路を歩く。右は針葉樹林で埋め尽くされた奈良県、左は針葉樹林のはげたところにススキの穂が揺れる。ハンシ山にさしかかるころから黄葉、紅葉した太平洋型の混交林の落葉広葉樹林が目立つようになる。
 国地院の地形図を改めて眺めて見る。すると櫛田川は源流になると木梶川、蓮川に大きく分かれる。その中の木梶川が高見山から木梶山をカバーする。どの源流部もみな落葉広葉樹林の記号で埋まっているではないか。〇の下にバーがある記号。
 蓮川は源流部で菅田川と木屋谷川に分かれて、木梶川源流部の山塊を抱き込んでいる。中央構造線の周辺には変わった地形が多いがそれは別に置く。
 次々に現れてくる紅黄葉を眺めては足を止めて撮影に余念がない。  
 これを古人は錦秋といった。
 今日はうまく当たったのだ。ハンシ山を下って伊勢辻山に登り返すところが正にブナの原生林になっている。大又からの登山道に合流する。ここまでが空白だった。記憶にはないがゆったりした気持ちのいい尾根道が伊勢辻山まで続いた。最後は冬のアセビの群落に阻まれる。何となく過ぎてしまいそうな山頂だった。ここで腰を下ろして休憩する。
 若干のアセビ群落をやり過ごすと急な斜面になりゆっくり遠景を見ながら降りる。一旦は鞍部に下って登り返すと赤ゾレ山の山頂である。その手前に黄葉の美しい木があり撮影に夢中になった。1303mあり今日の最高点になった。ハンシ山、伊勢辻山、赤ゾレ山はともに地形図に三角点も山名もない。ここから南部の山々を眺めた。遥かなる大台ヶ原を目指した自分を思い出す。ツエルトビバーク2泊でたどり着いた。2023年5月1には大台ヶ原山上を正午に出発し、松浦武四郎らが歩いた尾鷲道をツエルトビバーク1泊(マブシ嶺山頂)で尾鷲市県道まで下った。
 これで高見山から尾鷲市県道迄赤線がつながった。予定では木梶山を絡んで下りたかったがこれで満足、且つ出発の遅れで時間切れと判断し、赤ゾレからの尾根を下降。この領域もブナの原生林で尾根はほぼ黄葉で埋め尽くされていた。古びた道標のテープは少ないがブナの疎林なので見通しやすい。源流に下るところが急峻だが約1時間でと渡渉地点に下った。後は林道を歩けばPに着く。県境のすぐ東側にある谷なのですでに日没している。林道歩きの最中、浮遊する虫を見た。これは綿虫だろう。雪虫とも言い、台高山脈にも初雪が近いことの前触れか。
 ハッピのタワの出合いを過ぎて林道を飛ばした。ほとんど平坦で落石や倒木もないから歩き易い。P着くと自分の車だけがあった。先着の登山者らは帰って行った後だった。
 R166へ戻る。飯高の道の駅で少々のお買い物をする。柿が6個400円とお買い得、名産の茶葉、しいたけ、葉に包んだ生菓子など1790円。松阪市に出てからはホルモン焼きの一升瓶で焼肉を食う。2380円。これで秋の一日を堪能できた。また中勢バイパスで帰名。

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