鈴鹿・釈迦ヶ岳を巡る谷と尾根(沢始め)2010年07月11日

 本当は5月の予定だった沢はじめが今日になった。同行者と日程がうまくかみ合わなかった。2ヶ月近い遅れである。
 今日は50%の確率で降雨があるとの予報である。雨も何のそのである。午前2時起き、4時にW君宅に回った。登山口5時30分であったが30分の遅刻にF君も笑って許してくれた。
 6時過ぎ、林道のチエーンをまたいで先へ行くが一昨年の9月の集中豪雨の爪あとが残っていた。もはや相当修復するのだろうが谷の荒れようは痛ましい限り。補修で付け替えられた山道を拾いながら八風中峠を目指す。途中で分岐する。万緑の自然林が素晴らしい。
 中峠は変わらぬ姿で迎えてくれた。絶えず風が吹き抜けてゆく。ここから滋賀県側へ下る。山道は荒れ気味であるのは致し方ない。それに追い討ちをかけるように新しい林道が工事中であった。鈴鹿国定公園で保護をする一方でありながら滋賀県造林公社が何かと理由をつけて自然破壊に手を貸す。皆伐したあとはほとんど荒れる。ツメカリ谷などを昔を知るものには愕然とする光景であった。
 林道から再び沢に下って山道を拾って赤坂谷への出合いまでくだった。幸い下流部では安定していた。出合いで簡単な腹ごしらえをしてハーネスをつけて準備。急斜面の谷に大きな岩が乱雑に重なるゴーロ地帯を抜けると岩盤を切り裂いたような核心部が展開し始める。少し落ち込んでいたW君も飛ばし気味に登攀していく。
 花崗岩特有の明るい渓相と沢シューズのフエルトのグリップ力もしっかりして気持ちのよい沢登りを堪能した。核心を抜けると平和な穏やかな高原の中のせせらぎに近い渓相に変わる。ここからは山頂を目指すのみである。降雨しきりとなり、山道に上がる。旧造林公社の小屋跡を確認。今は崩壊して屋根が落ちた無残な姿である。あの新しい林道はもうしかするとここまで伸ばす積もりだろうか。
 沢は時間がかかるので山道と沢を交互に登る。釈迦ヶ岳の少し南辺りに突き上げて登山道に出た。山頂へは12時半ころ。雨の中ではくつろぐこともできないが計画は半ば達成した。次は下降であるがW君の当初の案ではキャンプ場近くまで大きく南へ下る。段木経由は既知なので中間の794mの独立標高点のある尾根を下った。濃霧の中の下降は難しいが古い赤テープもあって助かった。沢の完全装備があるのでどこからでも北へ下れば本流に出合う。しかし、そうしたこともなく忠実に辿った。どんぴしゃで車道に出た。車まではすぐであった。
 無難に沢始めを終えて全員に達成感と今年も一期一会の沢を共にする誓いを話すことができた。

コメント

_ kty ― 2010年07月21日 02時10分46秒

はじめまして。片桐盛之助を検索して、こちらにたどり着きました。
キスリングの片桐が店を閉めるという噂を聞きました。
もしも詳しいことをご存知でしたら、教えてください。

_ 小屋番 ― 2010年07月21日 17時32分03秒

コメントありがとうございます。
 ずいぶん昔、東京へ行った際、片桐の店でオリジナル綿帆布製小型のキスリングを購入したことがあります。今では宝物にしてしまっています。
 閉店は私も初耳です。『山と渓谷』8月号には片桐の広告が健在ですよ。買いたいものがあれば問い合わせてみたらいかがですか。古色蒼然としたデザインと天然繊維が人気のせいか納品5ヶ月待ちの「お詫び」広告までありますから単なるうわさじゃないですか。このデフレというのに高くても売れているんですね。

_ kty ― 2010年07月30日 02時42分09秒

お返事をありがとうございました。先日、山へ行った時に、素晴らしいキスリングをお持ちの方がいらしたので、どこの製品か聞いたら、片桐の物と教えてもらいました。その方のは、背カンに15年くらい前の刻印がはいっていましたが、修理もしてくれるとか・・・。ネーム刺繍も入っていて、オリジナル製作もしてくれると聞きました。
どうしても欲しくなったのです!オーダーはやはり半年くらい待つのですか・・・。片桐に直接問い合わせてみます。
ありがとうございました。

_ 小屋番 ― 2010年07月30日 12時32分12秒

私のも押入れから出してみましたら皮革製のショルダー部にK・KATAGIRI 1987 TOKYOJAPANの焼印が入っていました。多分1987年に購入したんでしょう。23000円也?だったかな。一度ポケットの革バンドが切れて修理しました。保革油を塗布するといいそうです。底の革も擦り切れてきましたので使用を止めて保存中です。笑
 このザックを背負っていた頃はわざと古い背広を上着に着てレトロ気分を出していました。皆さんから注目されましたね。
 古いガイドブックの持ち物・服装一覧には古背広、古いチョッキ(ベスト)もありましたね。何分オールウールですから今の化繊混紡よりは高級で保温性もありました。
多分英国の登山(服装)文化の影響でしょう。 
 トータルコーディネートするなら革製登山靴、純毛セーター(脱脂してない)でかためるべきでしょう。

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