鈴鹿・御池岳西側の沢歩き後記2010年07月21日

 『鈴鹿の自然』-自然観察のガイドブック(三岐鉄道、S44年刊)に掲載された鈴鹿の地質図によると鈴ヶ岳から御池岳の南西面、藤原岳の西面、竜ヶ岳の東西から北部は古生層という非常に古い地質と分かる。砂岩、粘板岩、輝緑凝灰岩から成る。
 面白いのは御池岳の石灰岩層は古成層の上に乗り上げたクリッペという説があることだ。クリッペとは根無し山の訳語がある。つまり御池岳一帯は下層から石灰岩で成り立っているわけでなく、下層は古生層ということになる。
 それはある程度は想像力を働かせると理解できる。我々が小又谷の滝を遡行するときは顕著な褶曲を見た。ゴロ谷でも見た。何億年もの昔の造山運動の名残である。平坦な地層は地殻変動で褶曲した。滝は古生代の地殻変動の露頭が侵食された結果である。
 小又谷からゴロ谷へ乗り越してすぐに岩の割れ目から湧水を見た。もしもT字尾根に登山道が整備されたらいい水場になるだろう。平成の銀冷水などと命名されるかな。およそ950mのこの湧水の標高とコグルミ谷の湧水とは同じ位であろう。各地の湧水ポイントをつなげば石灰岩層の厚みが推測できる。石灰岩は水を吸収するので空谷になる。地形図でも藤原鉱山は750m以上で採掘されている。三筋の滝も水線はおよそ750m辺り。
 但しゴロ谷近辺はもうちょっと高い950mくらいの山だっただろう。その上に石灰岩が乗り上げた。同時に南西に押し出されてかつては東西に並行に伸びていた尾根は蟹の形に変動した。すなわち御池岳が蟹の甲羅、鈴ヶ岳の南尾根とT字尾根がはさみというわけだ。
 御池岳を単純に石灰岩の山というなかれ、である。