中央アルプス・念丈岳縦走2009年06月07日

 大島山は遠い山だった。
 2001年9月24日に飯田松川から支流の兎沢を遡行して笹を漕いで行くと笹を切り払った登山道に出た。そのお陰で大島山に登れた。念願だった大島山に登れて一山落着したのだが2006年9月、本高森山と大島山の間の登山道の整備が終ったと知る。念丈倶楽部の多年にわたる奉仕活動であった。(06.9.12ブログ)以来、鳩打峠から本高森山を周遊する案はずっと温めてきた。5/23.5/24のテント泊は雨で中止。
  「伊那の山仲間」の掲示板に6/6の念丈岳縦走計画が書き込まれた。これに参加しない手はない。早速メールで参加を申し込む。S君とYさんの3人で参加申込。ところが6/6が雨で6/7に順延となり、S君は法事のため取り止めとなり、Yさんと参加した。中津川から飯田市周辺は豪雨である。心配しながら鳩打峠に上がった。前夜の宴会だけKさんも駆けつけた。久々の宴会で盛り上がった。
 6/7の未明、一台の車が横付けしたことも知らず寝ていた。続々到着する車。4時過ぎには目が覚め、急いで御飯をかき込む。主催者の浅井氏、酒井氏にまずはご挨拶。聞けば20名の参加であった。配布された名簿を見ると近在の人が殆どで名古屋市と下呂市が遠い方からの参加であった。
 5時、予定通り出発する。カラマツ林の中をゆっくりしたペースで登られるので助かる。以前はあったモノレールも今は撤去された。30分から40分毎にポイントで休む。烏帽子岳へは4時間余りで登頂した。あいにくガスで遠望は閉ざされる。
 烏帽子岳から池ノ平山に向う。シラベの原生林の中の笹がきれいに刈り払われて歩きやすい。これも念丈倶楽部の奉仕である。山頂までは単調な樹林の道であった。山頂は矮小化したシラベが生え、背の低い笹が覆う。ヒカゲノカズラも見た。シャクナゲも見るが今年は咲かないようだ。
 池の平とはいうが池が見えるわけではない。高層湿原である。登山道は最低鞍部まで下がって又登る。稜線上からは奥念丈、越百辺りが見えた。やがて念丈岳の一角に着いた。鳥越峠への道は刈り払いがないため藪っぽい。左へ行くと懐かしい美しい山頂である。何時登っても美しい山頂の風情だ。白砂青松である。南に見える美しい山は飯田市の風越山であった。違った角度からの風越山もいい。
 12時過ぎ、上澤新道を下る。この道は上澤さんの尽力と聞いた。平成19年3月2日に他界された。後進の人らは尊敬の念を込めて上澤新道と名付けた。やや急な道を下ると樹林帯になり、穏やかになる。笹の切開かれた道を下る。約45分後、左に谷が見え、すとんと下ると小松沢の流れを跨ぐ。貴重な水場である。上澤の岩清水と名付けられた。一杯掬って飲むと美味い。夏でも涸れることない常水として認知されれば訪れる登山者も増えるかも知れない。
 沢から稜線に向って高度を稼ぐと美しい樹林の道になる。背の低い笹と樹相が相俟って自然の美をなす。前方に崩壊箇所が見えたら大島山は近い。崩壊の縁を辿って笹の道を登るとさわやかな大島山山頂である。山頂からは伊那谷の町が見え、遠方には南アルプスも見えた。西側には安平路山がすっきりした山容で聳える。
 眼下の川は飯田松川である。南の風越山はやや大きく見えてまたもカメラを構えてしまう。手前には野底なる地名があるはず。野底の猟師安平は狼を飼い源流の広大な沖積平野・御所平で活動していた。昔は安平路山と鳥越峠間に道を作り獲物を追っていたという。安平が開いた路のある山だから安平路山という。以上は古い「岳人」に片桐盛之助が書いている話。
 大島山を下る。開かれたばかりの笹の路である。数分でテント場と水場(5分)に着く。再び長い笹の路をジグザグしながら下る。登りにとると手前のコブを大島山と間違うそうだ。本高森山までも長い下りと登り返しがある。樹林の中なので時折吹く風が涼しく疲れを癒す。
 本高森山に着いた。以前に登ったからこれで大島山との間がつながった。気になっていた未知の部分がなくなりホッとする。南アルプスでも百間洞山の家と聖岳の間がブランクで気になり、主峰は既登でもまだ南アルプスとは離れられない。山に関してはつくづくしつこい人間と思う。
 本高森を下る樹林の下にきれいな山道が続く。里山の足に優しい路である。アルプスの険しい路ではなく無理のない路である。こんな路も好きな路である。やがて林道に下った。17時25分。鳩打峠から12時間余り。長い道のりを歩き通した実感は足が教えてくれる。
 予想以上に大きなバスに驚き、路ぎりぎりの巧みな運転に感心しているうちに峠に戻った。
 念丈倶楽部代表の浅井様、事務局の酒井様ありがとうございました。
同行の20名の皆さんもありがとうございました。脱落者なく無事周遊を果たして万々歳でした。

コメント

コメントをどうぞ

※メールアドレスとURLの入力は必須ではありません。 入力されたメールアドレスは記事に反映されず、ブログの管理者のみが参照できます。

※なお、送られたコメントはブログの管理者が確認するまで公開されません。

※投稿には管理者が設定した質問に答える必要があります。

名前:
メールアドレス:
URL:
次の質問に答えてください:
日本で一番美しい山は?
ヒント:芙蓉峰の別名があります。

コメント:

トラックバック