山における心肺停止の怖さ2019年07月25日

 7月21日と23日に北海道の山で心肺停止で死亡する事故が2件立て続けにあった。
 山岳医の大城和枝さんは「遭難による死亡原因の
1位は外傷、
2位は低体温症、
3位が突然の心臓機能の停止等によるもの、
4位が雪崩です。
 遭難と死亡の関連性についての統計調査は、今まで触れられてきませんでした。このデータをもとに、発生の多いケースへの対処を学術的に考えることが、山岳遭難による死亡を防ぐことにつながると考えています。」

 また、先に述べた死亡原因は地域差が見られます。
例えば、北海道に注目すると、死亡原因の1位は低体温症です。
こうした事実を地域の登山家に対して行う講習内容に反映し、それぞれの地域ですぐに役立つ情報を提供することが大切であると考えています。」

 山での突然の死亡事故はすべて手遅れになりやすいので事前の対応が必須です。かつて山城さんの講演会では

山城和恵氏の講演会要旨ー救える命を救いたいに簡略的にかいてあります。
http://tss1962.blog.fc2.com/blog-entry-6.html
 まとめると
1 ゆっくり登る。同行者が早くてもあおられないこと。寝不足時は特に注意する。異変を感じたらすぐに下山する。
2 高い山では(概ね1500m以上)酸素を取り込むように歩く。
3 北海道では保温に注意する。標高は2000m級でも本州の3000m級に匹敵する気温に留意。万一倒れても雨合羽、セーターなど着用して保温し、ツエルトをかぶって風による体温低下を防ぐ。温かい飲み物を飲んでも良い。

*******************************************

 トムラウシ山で心肺停止の男性救助 死亡確認 北海道新得町
【新得】21日午後2時55分ごろ、トムラウシ山(2141メートル)の登山道で男性が倒れていると、登山者から消防に救助要請があった。男性は同7時39分、搬送先の病院で死亡が確認された。

 新得署によると、倒れていたのは長野県内の60代男性とみられ、短縮登山道入り口から15分ほど登った場所。消防隊と同署員で救助に駆け付けたところ、心肺停止状態だった。

 当時の天候は曇り、外傷はなく、衣服は乾いていたという。同署が身元の確認などを進めている。
********************************************

 後志の羊蹄山で23日、60代の男性が倒れて遭難し、その後、死亡しました。

死亡したのは、千葉県の戸塚賢さん67歳です。
23日午前11時ごろ、同行者から、戸塚さんが「頂上付近で倒れた」と消防に通報がありました。
午後4時半ごろ、警察が戸塚さんを発見しましたが、意識がなく心肺停止の状態で、その後、死亡が確認されました。
警察によりますと、当時、頂上付近は悪天候で、ヘリコプターによる救助ができなかったということです。北海道放送(株)
以上

・・・・直接的な生理的医学的な原因よりももっと重要な原因は「日本百名山」の踏破が目的で道外から多額の費用と日数をあてて来たこと。
 せっかくここまで来たからと無理をし易い心理が働くことだ。つまり登山技術以前の問題ですでに遭難しているといえる。
 名古屋市のある中高年の山岳会員で60歳代の女性2名が夏の大雪山の避難小屋で凍死していた。十分な装備や食料もなく、本州では3000m級の気温と同等の小屋で登頂の機会をうかがっていたのだろうか。日本百名山になると旅行気分もあるのだろう。登山が悪天候等でだめなら観光に切り替える知恵を持ちたい。
 拙ブログに掲げた「要するに山での危険というものは、山にあるのではなくて登山者自身にのうちにある、ということを、はっきり知っておくことである。」 を再読したい。