タクラマカン砂漠大紀行 ~消えゆく大河を追う~2021年03月07日

 タクラマカン砂漠の乾燥地帯でウイグル族の生活を伝える動画です。ウイグル族は遊牧民であり、通商に生きていることがリアルに分かります。中国人(漢人)は農耕民族ですから大地に傷をつけて農耕し収穫物を得ます。そのことが乾燥地化を促すのでしょう。
 モンゴル人は農耕をしないと言います。草原は一度引っ搔いたら砂漠化することを知っている。しかし、ウイグルは漢人が入り込むことにより開拓が試みられてきたが失敗に終わった。結果、元の自然を復元することに切り替えたと言います。

https://www.youtube.com/watch?v=ZZLMnUWES9I

動画「タクラマカン砂漠を生きる」
https://ganref.jp/m/tabeyuki/portfolios/photo_detail/3033301

やはり、古代は緑豊かな土地だった。胡楊の森があったが徹底して利用した結果、砂漠化したとナレーションが語る。

胡楊 コヨウ
千年枯れず、千年倒れず、千年朽ちず 
砂漠を旅するものに水を与え、タクラマカン砂漠を象徴する木です。
根本は砂が絡み付いて小山のようになります。


コラム
「緑化植物 ど・こ・ま・で・き・わ・め・る」

胡楊(コトカケヤナギ:Populus euphratica Olivier)

          山中 典和(鳥取大学乾燥地研究センター)

 中国のタクラマカン砂漠。その東の端、ロプノール湖のほとりにかつてシルクロードの要所として栄えた楼蘭王国がある。現在は砂に埋もれた遺跡であるが、幾多の発掘の結果、砂漠の都市にもかかわらず、建築材として夥しい木材が使われていることが明らかになっている。この砂漠の王国を支えた樹木がシルクロードを代表する樹木である胡楊である。
 タクラマカン砂漠ではタリム河沿いに胡楊の大森林がみられるが、タクラマカン砂漠を取り巻くシルクロード沿いを走っても所々、河の伏流水がみられる場所を中心として胡楊の群落がみられる。砂漠での胡楊は地下水位に敏感であり、河の流路変化や地下水位が低下することにより、簡単に枯死する。シルクロード沿いにはこの様にして枯死した胡楊の群落も多くみることができる(写真参照)。
 胡楊はヤナギ科の落葉高木であり、いわゆるポプラの仲間である。和名としてコトカケヤナギという名があるが1)、シルクロードを取り扱った日本の書物では中国名の「胡楊」をそのまま用いている場合が多い。テレビなどでも中国名を日本語読みにした「コヨウまたはコヨウジュ」と呼ばれることが多く、この名前の方が一般には浸透しているかもしれない。
 ここでは学名を示した上で中国名の「胡楊」を使うこととする。胡楊の樹高は通常 10-18mであるが、中には 20mに達するものも存在し、直径も大きいもので1mを越す。雌雄異株で、4 月下旬-5月に開花し、6 月下旬-8 月下旬に結実する。
 ヤナギ科植物は開花から結実までの時間の短い種がほとんどである中で、胡楊は最長の部類に入る。最も特徴的な性質は葉の形態であり、細長い被針形のものから卵円形で歯牙状の鋸歯を持つものまで、種内で葉形態が大きく変化する(写真参照)。
 さらに1本の木の中にも複数の異なる形態の葉が認められる。このことから P. diversifolia(多様な葉を持つポプラ)という学名も使われる。一般に幼植物は被針形の葉を着けることが多い。成熟した樹木では樹冠上部に鋸歯をもつ卵円形の葉をつけ、樹冠の下部では三角形状の葉や被針形の葉がみられる2)。葉の形態の違いに伴いその生理的特性も異なることが知られている3)。
 胡楊の分布は、中国国内では新彊ウイグル自治区 が主要な自生地であるが、甘粛、内蒙古、さらには寧夏、青海、山西、陕西、河北にもわずかにみられるとされる。中国以外では、中央アジアから、コーカサス、アフガニスタン、パキスタン、インド、イラン、シリアを通り、エジプトに至る。さらには遠くスペインやモロッコまで分布するとされる2)。
 乾燥した大陸性気候下で、陽光を好む。生育適地は湿潤で塩分の少ない土地であるが、熱や大気の乾燥、塩、強風にもよく耐える。太い幹の中には多量の水分が含まれており、年齢を調べるために生長錐を幹に入れると、穴から水が噴き出す。これが「胡楊の泪」と呼ばれる現象である。寿命は 150年以上と考えられ、タリム河流域で測定された直径 101.5cmの胡楊で 233 年という値が記録されている2)。木材は建築材、
橋、家具材等に利用され、良好な製紙原料ともなる。
 しかし、現在では禁伐となっており、枯死した枝等が燃料用に利用さ
れる程度である。胡楊から採れるʻ胡楊碱ʼは良質の塩で、食用の他、工業用、薬用にも広く使われる。緑化樹種としてもよく利用され2)、タクラマカン砂漠のオアシスでは綿畑などの防風林として胡楊が使われている。
 種子は散布後、すぐに発芽する。その反面、発芽力を失うのも早く、4週間もすると大部分の種子はだめになる。乾燥剤等を利用しうまく貯蔵すると1年程度発芽力を保たせることもできる。苗の成長は速く、6月中下旬に播種すると好適条件下で生育期の終わりには 60-80cmに達する。根萌芽に因っても繁殖し、親木の周りに数十本の苗木が見られることもある。挿し木も可能である。

よみがえる緑のシルクロード (岩波ジュニア新書) 新書 – 2006/5/25

アマゾンの広告から
 楼蘭に近い砂漠から、約四千年眠りつづけたミイラが多数発掘された。枕元の草かごのなかには小麦の種子が入っていた。それを分析すると驚くべきことが…。その昔、そこにはどんな人たちがどんな暮らしをしていたのか。ヘディンらの踏査を振り返り、木の墓標や副葬品などを手がかりに、ユーラシアの環境変遷を大胆に推理する。

アマゾンのレビューから
「前半では、墓地遺跡の発掘から、かつてシルクロードが「緑」であったことを示そうとしている。棺の木材、副葬品の小麦の種子、棺を覆う牛の皮などを取り上げ、それらから推測される2000〜5000年前のシルクロードの姿が描かれるのだ。
 後半は、穀物のDNA解析から何が分かるか。それから、農業の環境に与える影響が論じられる。農業が環境を破壊しているのは紛れもない事実で、かなりショッキングな話だった。」

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