望岳(岳を望む) 杜甫2021年03月24日

『杜甫詩選』(岩波文庫)から

岱宗 夫れ如何     
たいそう それいかん

斉魯 青未だ了らず  
せいろ せいいまだおわらず

造花は神秀を鍾め   
ぞうかはしんしゅうをきわめ

陰陽は昏暁を割く   
いんようはこんぎょうをさく

胸を盪して曾雲生じ  
むねをうごかしてそううんしょうじ

眥を決して帰鳥入る  
まなじりをけっしてきちょういる
  
会ず当に絶頂を凌ぎて   
かならずまさにぜっちょうをしのぎて

一たび衆山の小なるを覧るべし  
ひとたびしゅうざんのしょうなるをみるべし

・・・五岳の1つである泰山を遠望して作った詩。いつかはきっと山頂に立って足元の山々の小さく見えるのを眺めるであろう。

※衆山は漢語である。前田普羅の主宰する「辛夷」の雑詠欄の題名は「衆山皆響」とするからには愛読書であっただろう。