奥美濃・神又峰を歩く2019年06月09日

 今年2月滋賀県側から田土まで入れた。スキー登山を試みたが中津谷の終点で時間切れで撤退。さらに3月にも入山したが田土へは工事中で全面通行止めになったので賤ヶ岳に変更した。そして沢登りシーズンになったので岐阜県側から挑んだ。

 6/8に夏山フェスタ会場を辞して、16時に集合場所へ行く。仮泊は池の又林道の通行止めに近い坂内バイクランドの一角で仮泊。6/9、暗いうちに起き、軽く朝飯を取り出発。夜叉ヶ池への林道の通行止め地点が神又峰の入り口だった。既に1台止まっていて聞くと蝶々の採集のようだ。身支度を整えていると夜叉ヶ池に向かう若者等も来た。

 出発したのは5時15分。地形図にもある左岸の林道の廃道を進むとすぐ堰堤で行き止るので少し戻って巻き道に入る。明瞭な道で釣り師か山菜取りだろう。堰堤を越えると河原に降り立つ。しばらくは平らな河原歩きが続き、流れの膨らんだ草深い踏み跡をたどった。そのうち明瞭な林道の廃道を歩く。奥にまだ堰堤があるからだ。
 二股になった。地形図には土蔵岳から北へ流れる谷の水を塞き止めた池がある。その池に廃道は続く。歩いてきた廃道はセメントの基礎部分を残して草むらに消えた。ここからは本流の水に浸して溯る。辺りはうっそうとしたブナ林、栃の巨樹、沢ぐるみが見られる。以前にも書いたが、まるで緑のうわばみに吸い込まれて行くようだ。
 地形図を食い入るように見ながら周囲の地形をチエックする。今、自分たちはどの辺か。やがて標高700mの二股に着いた。右へ。谷が立ち始めて750m付近で滝を8mと5mくらいのを2つ突破。また平流が続く。ぬるぬるとしたいやらしい滝をWリーダーのみ右岸を大きく高巻きして、ザイルで確保してもらって登攀する。そうしないと軟弱な地盤なので落石が頻繁にあるからだ。
 ザイルが滝つぼに落ちると岩魚がびっくりして浅瀬に踊り出てきた。右往左往しているのが分かる。すまん、脅かすつもりは無かった。850m付近の奥の二股も右へ。どこまでも水流のある谷を本流として溯ったが水も絶えた。空谷になったので荒れた登山道のように登って行ける。谷の窪みも無くなり藪が絡んできた。稜線らしい高みに達した。Wリーダーが先行して三角点を発見。1050.1mの大岳に登頂した。今度は5時間で登れた。どんな藪山でもある山頂標がここはない。これが本来の山頂の風景であろう。
 あいにく周囲はブナ林でしかも霧が深い。藪も絡んで山頂らしい開放感はない。写真だけを撮るとすぐに下山する。まだ長い尾根の下山が待っているからだ。
 ここが滋賀県との県境という表示、赤テープは一切無い。しかし、事前の検索で、1060mとの鞍部までは滋賀県側の中津谷へたどれる踏み跡があった、との情報を記憶していたので、探ると微かな踏み跡が認められる。そこをたどるとスイスイ歩ける。小枝が多少は絡むがこのまま続いて欲しいとの錯覚に陥る。
 三角点・大岳から約400mで1060mの広大な北峰に着いた。そして北東へのやぶこぎが始まる。1000mのコブまでは迷走しながらルートを探る。等高線がゆるいのでヌタバが多い。ここからほぼ真東に方向を定めると獣道ではなく、人間が拓いた道が現れた。枝を鋸で切断した跡があったからだ。踏み跡程度だが歩きやすい。しかし、倒木があるとそこだけ他の樹種が繁茂して踏み跡を乱す。突破するとまた現れる。こんなことを繰り返した。1012mを越え、923m辺りまで来ると高度が下がり始めて踏み跡も明瞭に成る。倒木地帯では相変わらず、迷走するが慣れた。
 地形図で神又谷の印刷のある鞍部まで到達するともう尾根の末端だと安心させられる。ところが747mのコブを越えようとするとピーク付近のシャクナゲの藪に絡まれて前進を阻まれた。時はもう6時が迫る。日没までは1時間ほどだ。どうする、と鳩首会議。懸垂で神又谷に下降しようとなった。こんなところでビバークはできない。河原まで降りれば流木を集めて焚き火を起こし、ツエルトをかぶって一夜をしのぐこともできる。風の通りやすい鞍部では寒いだけだろう。
 ハーネスを装着し、Wリーダーは30mザイルを2本準備した上で、690mの鞍部から580mの神又谷へ比高110mの急斜面を小枝、笹をつかみながら下った。ザイルを出す場面はなかったから案外スピーディーに下れた。約20分。
 人生でも仕事でもそうだが、案ずるよりは有無が安しである。いわんや山においておや。無謀な冒険はいけないが、頭であれこれこねくり返しても進まない。やってみるきゃないと腹をくくることだ。
 河原にくだると、メンバーも安堵した。すぐに既視感のある場所に出た。それからはピッチが早い。廃道だから歩くだけだ。堰堤を越えるとクルマが見えたと女性陣が騒いだ。もう暗くなった車道に着いたのは7時を大きく回っていた。こちらは東側なので日没すると残照はなく真っ暗になる。すぐに着替えて帰路に着いた。今回も「藤橋の湯」に入れなかった。全員が無事に下山できたことをお土産にして帰名した。

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