株主総会出席2010年06月29日

 今日は10時から2社所有している会社のうちC社の総会に出向いた。売上はなんと前年比半減、当然赤字で無配転落である。ついに名門企業からただの零細な会社に転落した感がある。報告書には原価低減、経費節減と決まったような文句が書いてあるがタダ同然の地価の安い資産を持つがゆえに緊迫感は伝わってこない。
 売上高でも非上場の前勤務先の方がよく無借金経営、支店、営業所などの拠点を持たない、工場もないからコストダウンの必要がない。これくらい柔軟な経営方法はないだろう。営業社員は全国の得意先に出張で出かけるから営業経費は旅費だけ。業種が違うから一概には言えないが。生産も図面を書いて下請けに渡すから工場経費はゼロである。こうした経費の差が収益力の差に出てくる。
 トヨタのカンバン方式はカネのないトヨタが零細な企業のやり方を採用しただけで特別に優れたアイデアでもなんでもない。トヨタは収益力を高めるために徹底して零細な企業の視点で経営してきたのだ。収益が多くなれば借金も返せるから朝鮮動乱の特需を機によみがえることができた。石田退三がやったのはコストダウンであった。
 C社に必要なことは細かな経費節減ではもう追いつけないところまできている。株主として「本社屋売却、東京支店、大阪支店の撤退」を検討せよと発言しておいた。社員株主がほとんどの中で勇気がいったが言うときには言っておかねばならない。
 地価の安い所有地を担保に銀行借り入れを増やせても収益力がなければ返済不能でやがては行き詰まる。名門企業は銀行も守ってくれるが銀行管理になってよみがえった企業はほとんどない。よみがえってももはやオーナーの手からは離れるだろう。ここ2年から3年が正念場を迎えるだろう。銀行借入が売上の半分になれば本社売却は必至、上場廃止も視野に入る。流動性のない株はますます売れず多くの関係者が損をする。来期は上向くらしいのでキープするが。
 社長になって2年目の若い世襲経営者には荷が重い。多国籍企業のIBMにいたというが社会の変化と対応に遅れてマイクロソフト社と反比例するように落ちぶれた米国きっての名門企業で何かを学んでいただろうか。
 同じく名門企業の富士重工業が赤字に悩み、無配だったところへ日産から送り込まれた経営者がやったことは徹底した工場のコストダウンだった。レガシーのヒットで息を吹き返した。その日産へもまたゴーンが送り込まれてやったことは徹底したコストダウンである。経費というものはいつの間にか知らずに増えていくものである。
 入るを計り出るを制す、という会計の基本だけが今も金字塔のように輝く。稲盛さんが日航でやることも決してあっと驚くアイデアではなく地味な会計の基本の徹底である。それしかないのだ。

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