マッキンリーの雪崩事故に思う2012年06月24日

 6/16、北米最高峰・マッキンリー山で日本人5人が雪崩れに巻き込まれ、1名は生還し、4名が行方不明という。宮城労山連盟隊という。富士山で充分なトレーニングも積んで挑まれているようだが雪崩れに対する予見は隊長の判断一つの世界である。視界不良で中途下山したまでは正しい行動であった。山では危険かどうかは自分で判断するしかない。不運としかいいようがない。

 報道された記事を読むと、雪崩がいつおきても不思議ではない状況だと思う。キャンプ地の3300m付近は、6/11は強風が吹き、6/13はテントが半分埋まるほどの大量の降雪があったらしい。降雪中、降雪直後は動くな、という雪山登山の鉄則が守られなかったのは残念の極みだ。行方不明になった隊員のご家族の心痛を思う。
 山岳会でもその話題になったが、自らの下山で、雪崩を引き起こした可能性もあるという見解が出た。何しろ、大雪の後だけに、不安定な雪面を切る形になるからだ。5人で10m間隔でアンザイレンして、下山中だったという。そこを背後から雪崩れに襲われたのだから可能性の一つにはなる。そんな場所だから、捜索もとても危険だ。打ち切りも已む無し。
 隊長は2度目の挑戦だったという。日本から折角きたのだから行けるところまでは行こう、と大雪の中を登った。結果として、これが間違いだった。当局から雪崩の危険性を強調されなかったというが、すべては自己責任の世界である。山の斜面に積雪があれば、雪崩はありうると想定するのが常識というものであろう。

御在所山付近の仏谷で転落死2012年06月24日

 ヤフー山岳事故によると、御在所山水系の仏谷で10mの滝から落ちて滋賀県防災ヘリが発見し、救助されたが死亡したと報じた。文面からはどうも単独行のようだ。23日に日帰りの予定で入山したもよう。京都の家族が捜索願いをだしたのだろう。今回は初動捜索活動が早く、見つかって良かった。48歳と若いのに残念だ。御池岳で亡くなった名古屋市のNさんも単独行であり、四十代だった。何でこうも単独行の遭難事故が多いのか。

 一般論であるが・・・。

 W・ウェストン『日本アルプス 登山と探検』の表紙の何ページ目かに、「私の山旅の友へ」と題して
「人がもしよい助力者を得るならば人生においてそれに優る宝はない」という言葉がある。
 よい山仲間を得ることは、登山技術をアップすることと同じくらい大切なことなのである。仲間を見つけて、ゆっくり上達することを考えて欲しいものである。

 単独行の登山は惨めなもの、との認識をもつことだ。已む無く単独になることもあるが、進んでやることではない。住まいの周辺にある、いくつかの山岳会を訪ねて、ウマのあいそうな雰囲気を感じたら、3年くらいは籍を置いてやるのもいい。特に沢、雪山の場合は。
 加藤文太郎のイメージにあるような単独行は「レベルが高い」、「崇高なもの」といった見解は信用してはいけません。レベルが高いから単独行でも無難に登山できるわけです。その逆はない。
 「俺、冬に単独で何々山を縦走したとか、ある谷を、あの尾根を登攀した」とか、自慢話になるのが常。仲間内の反応も単独と聞けば、「凄い」と賞賛されることもあろう。そのうち、単独行だからレベルが高い、と勘違いすることになる。
 ネット情報を鵜呑みにして、漫然と、危険領域に行けば事故もあり得る。山歴何十年もいい加減なものです。若いときの自慢話も多い。よく聞くとガイド登山で連れて行ってもらったりしても自力のように話す人もいる。良い仲間がいないとこうなる。
 已む無く単独行の場合は、登山口の入山ポスト、家族や、車内、社内などに、登山計画書、または登山届けを残そう。

コメントがうまくいかないので
tohkさん、コメントありがとうございます。
御在所岳で,今日、又事故がありましたね。
純粋の沢登りではないですが、恐らく、高巻きの失敗でしょうか。
この方も単独行でした。
単独行は確かに充実感があるものです。危険を意識して、孤独を克服し、無事、やり遂げれば、隊で行くよりは充実を覚えるものです。
それでも沢と雪山は避けたい、と事故を見るたびに思います。失敗すれば惨めさが湧き上がるでしょう。死んでいった人の声なき声と思っています。