冷えは大敵2012年05月06日

 GW後半になって、北アルプスでは、最悪の大量遭難が起きてしまった。一挙に8名もの高齢者が低体温症で死亡した。低気圧の接近から少しぐずついただけでもこんな有様である。典型的な気象遭難である。
       日常生活においては
 人体は低温には弱いように出来ている。もちろん暑さにも弱いが・・。しかし、冷えると体内の免疫力が弱まり、細菌・ウイルスが増殖して発病する。それを防御し、攻撃のために熱を出して体を温める。白血球が体を守ろうとする。寒いと震えるのはそのためである。頭痛もする。食欲も衰える。自然な現象だから保温と安静が一番だ。抵抗力がやがては解決する。
 それを解熱剤の服用で治すと一時的には軽減するが根本治療になっていないわけだ。抗生物質の服用も用心する必要がある。善玉菌まで殺すからだ。
 最近、よく購読するようになった右寄りの月刊誌「WiLL」は1月号から鍼灸師の小林詔司氏の連載記事が有益である。題して「100歳まで元気に」という。
・1月号「健康になりたければ白湯を飲め」
冷水は体力が落ちるから白湯を呑みなさいというのです。
・2月号「みかんに気をつけろ」
体にいいからといって食べすぎはよろしくない。
・3月号「風呂は週二、三回で十分」
回数はほどほどに。
・4月号「女の髪は体を温める」
洗髪は着衣で、と提案されています。
・5月号「関節が痛いときは休め」
お説のとおりです。無理をしないことです。
・6月号「ナイトキャップの復活を」
つまりは体を冷えから守るわけです。
 我々現代人は快適な生活に慣れ切って、少し暑くても、エアコンを使う。部屋でも、マイカーでも、事務所でも完備されている。冷蔵庫の冷たい飲み物は飲み放題です。24時間、コンビニで買えるシステムです。原発停止をきっかけに見直したいものです。体調だってよくなる気がします。
 昔から日本人はお茶を冷やして、飲む習慣はなかったのですね。夏でも熱いお茶をのんだものです。知らないうちに便利さが体調まで悪くしているんでしょう。エアコンの効いた部屋で季節はずれのものを飲み、食べる、シャンプーで毎日洗髪、入浴せずにシャワーのみ、ガラスとコンクリートの部屋は朝方一気に冷えて、何だか体調がおかしい、となる人って多いですよね。

        登山においては 
 冷えと発熱の調整は本当に難しい。
 栂池から出発するとおそらく、天狗原への登りで一汗かく。ここまでは軽装で良いが、すぐに着替えて風による冷え、高度による冷えに対応しなければいけない。ヤッケもすぐに着用するか、できるようにしておきたい。そして、汗をかかないようにゆっくり登る。登るにつれて、水を控えてテルモスのお湯か、お茶を飲んで体を冷やさないことを心がけたい。
 2009年の夏山でも北アルプスの雲の平を早朝から縦走中、雨と濃霧の中で体が冷えた。山荘に寄って、ストーブを囲み、熱いコーヒーを飲んで休憩した。今まで以上に元気で再出発できたことを共感した。異口同音にあそこで休んでよかったね、と。
 黒部川・上ノ廊下を遡行した際も、濡れからくる冷え対策をきっちりやった。何せ、黒部源流の水に一日浸るのである。これがうまくないと低体温症でやられる。撥水機能のある下着と速乾性のシャツ、撥水ズボン、雨具で固めた。濡れが浸透する前に川から上がった。焚き火で乾かすのは足と沢足袋だけで済んだ。冷えからくる体力の消耗は想像以上であろう。だから想像力を働かせて、準備することになる。