「山の安全対策」を見て2012年09月25日

「山の安全対策」というサイトがある。
 http://www.geocities.jp/kyongsea/index.htm

 ここにアクセスすると、様々なデータが掲載されているので見てみたい。平成22年の統計が最新である。
 先ずは、遭難件数ですが、年々増加の一途です。その内の死亡・行方不明も高水準で推移しています。高齢社会を如実に反映していると言って良いでしょう。団塊の世代が高齢化してゆけば、遭難件数はまだ増える気がします。

 原因別発生状況を見ますと、道迷いが970件でダントツに多い。滑落の402件、転倒の309件の2倍から3倍に達する。

 *リーダー不在、リーダー意識の欠如、楽しいことを重視、和を重視することで言うべきことを言わない。皆で一緒に迷ってしまう状況かと?単独行は原因ではない。
 
 年代別遭難者数では60代が706件と50代の369件、70代の392件を大きく上回る。80代も101件ある。

 *個人差が大変大きい。昔とった杵柄タイプが一番危ない。大学山岳部OBが危ないと聞いたことがある。わずか3年から4年で高度なレベルの登山技術を習得してしまうからか?それを生涯引きずっている登山家がいるにはいる。
 
 単独登山者の遭難発生状況ではどうか。遭難者全体では2396件の内、無事救出53%、死者・行方不明は12.3%、負傷者が34.7%であった。これを単独登山者だけに絞ると、無事救出は46.6%、死者・行方不明が21.6%、負傷者が31.8%であった。

 *やっぱり、無事救出が減って、死者・行方不明が大幅にアップしていることが数字ではっきり示されている。だから単独行は止めなさいと言っても聞かない人が多い。せめて、万一を考えて、登山計画書を自宅に残す。これが中々普及していかないのは何故か。

・思いつきで山に行く。
・面倒、途中で変更しにくい。

 行方不明になると、捜索願を出せば、最初の1週間は県で捜索してくれる。後はボランティア協力(家族の友人、職場の友人、山岳会等)、地元消防団等の有償での捜索しかない。北アルプスで救助保険に加入していないと分かると、民間ヘリが出動しても戻ってしまう例があった。民間ヘリは1時間に50万円から100万円という。富山県、岐阜県、三重県、滋賀県は防災ヘリが出動するようだ。これは税金から支出される。
 有償で捜索すると、鈴鹿辺りでは1日1人日当1万円としても30人で30万円になる。土日を捜索依頼すると10日で300万円にもなる。負担に耐えられず、1ヶ月で打ち切った例があった。1年後に大水で流されて遺体で発見された。山岳遭難で行方不明者を出すと大切な人とカネ(家)を失うことになる。働き盛りなら、家族が路頭に迷う。
 自分自身のリスク、家族への負担を考慮するともっと慎重な行動と手続きが必要と分かる。ここでいう慎重とは(未熟な、不完全な)自分を知るということだ。単独で自己流でやっておれば自分を知る機会は少ない。自分は何も知らないということを知るかどうか。この態度が謙虚ということである。
 捜索・救助自体もリスクが高い。関東圏で沢登り講習会では1名の遭難で、救助活動した人、取材記者、ヘリの事故で数名の人が死んだ。岐阜県の穂高でも1名の遭難者のために救助のヘリが事故になり、乗員に死亡者が出た。
 以上は自戒を込めて。
 登山の面白さは初体験、危険を克服すること、試行錯誤からの脱出にある。一つ間違えれば遭難の二文字がちらつく。つまりリスクを背負っていることを、意識しながら登山を完成させる(入山から下山へ)。
どんなに準備し、訓練しても完全はない。マサカということがある。それが登山なのである。
 登山を愛する人は風狂なのですね。松尾芭蕉は「野ざらしを心に風の入む身かな」と詠んだ。野ざらしとは行き倒れだ。誰にも看取られずに自然の中でオロクとなって死んで行く。
 今は放って置かれない時代です。また繰り返しですが登山計画書を出しましょう。

コメント

_ すず ― 2012年09月29日 07時53分53秒

小屋番さん☆ おはようございます。 その後捜索は難航しているようです。目撃者は居たようですが、何処から入山したのかわからないのですね! 捜索費用がこんなにかかるものなのですね。どうか1日でも早く見つかる事を祈るばかりです。ありがとうございます。

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