飛騨・猪臥山を歩く2009年04月13日

 4/12(日)、午前6時40分、地下鉄本郷駅前を出発。メンバーは5人と丁度いい人数である。名古屋ICへはやや少なめか。まだ朝早いこともある。一路、名神から東海北陸道へ。ひるがのSAで休憩に立寄るが満車状態でそのままパスした。やっぱり高速料金の特別割引どこまででも1000円の効果の所為で多いのだ。
 清見ICを出てすぐにR158から飛騨・卯の花街道へ。名古屋から167km、8時20分着。8時33分には出発できたから早いの何のって。ノンストップなら楽々日帰り圏である。2月に来た折は一面の雪景色であるがさすがにもう雪はない。車を停めると蕗の薹が一面に頭を出している。雪解けで湿っている地面は丁度いいのだろう。
 猪臥山遊歩道の登山口は彦谷の右岸側にあり、標高は1010mの等高線がある辺りである。地形図では広い街道が弓、狭い旧道が弓の弦の形に見える。卯の花街道と旧道の合流地を右に見て橋を渡り、左の広場へ寄ると大きな登山口の案内板と絵図がある。
 雑木林はまだ裸木で見通しがいい。落ち葉を踏みながらやや急な登山道を登る。一旦コブを越えて鞍部に下る。また登り返すが暑いので一枚脱いだ。独立標高点・1142mの尾根が北へ下った辺りの1110m付近で北西に登って来た枝尾根の登山道が合流して、後は・1285m、・1456mの尾根を辿る。尾根上には早速残雪もあった。ウグイスの初音も聞いた。
 最初はブナも混じる雑木林からカラマツの植林、またブナの原生林なども掠めながら高度を上げて行く。残雪期、新緑期はいいが万緑の季節は風が通りにくいので夏季は暑いだろう。
 降雪期は山スキーも使えると思う。2月には彦谷の左岸側の林道から尾根を登り、NTTの電波塔の稜線をアップダウンして登った。滑降は彦谷の中央の谷芯を下った。電波塔を絡める稜線から眺めると雪庇が発達していて手強そうだった。しかし、今日登って見ると痩せた部分は山腹をサイドスリップしながらでも何とか使える尾根ではないか、と感じた。むしろ尾根が広い1300mの辺りのRFが大変な気がする。
 陽光を浴びる所では笹が伸びてうるさいが何とかなる。・1285m辺りまでは痩せ尾根を辿るが1300m付近でカラマツの広い尾根になると明るく、雰囲気はがらっと変わる。残雪も思いのほか多い。出発時にロングスパッツは不要と言い切ったが必要だと反省した。すでに登山靴は中まで濡れてしまった。雪に覆われた登山道や道標を確かめながら進むと左に白い山なみが見えた。白山だ。・1456mで一層はっきりした。両白山地、飛越高地の山座同定を楽しむ内にここで昼食をとりたい希望もでたが山頂まで頑張るぞ、という声でパスした。
 ・1456mからは雪庇の落ちた後で雪の堤防のような尾根が山頂まで続いた。適度な固さでピッチも上がる。一旦下った平でカモシカ一頭と出合った。快晴の元で眩しいからサングラスも欲しい。雪眼を警戒しながらも気分は高揚し、後続のメンバーをおいてピッチを上げた。雪間にある登山道を拾い、また残雪をキックしながら登りつめると山頂であった。約3時間の登りである。3/8の銀杏峰部子山以来の登山でなまっていた体が喜んでくれたようだ。
 山頂は2等三角点と標柱を境に彦谷側の雪庇が崩壊してすでに雪もなかった。但し、北面はまだたっぷりあるかに見える。その境で卓上コンロを出し家庭用の鍋でうどんを作る。鶏肉、茸、白菜、牛蒡なども入って中々に美味い。私は既製品の筍飯を弁当にして持参。旬のものなので皆さんから箸が伸びてきた。コンビニの弁当、おにぎりをやめたいと思い、まだ貰っていない12000円の還付金を前倒しでIT電気炊飯器を購入したのである。今日は第一号であった。Sさんお手製の蕗味噌も供されて賑やかな山上の午餐であった。お陰で山頂滞在は1時間を越えた。
 満腹後は山座同定である。猪臥山は白山、大笠山とは32~33km、金剛堂山などの飛越高地は23km、穂高、御嶽は50km、乗鞍岳は45km、黒部五郎岳も50kmくらいの距離ありにあり、眺望は飛騨随一である。日本中央分水嶺と北アルプス、白山山系、飛越高地にぐるりと囲まれた飛騨の国のやや白山よりながら猪伏山は中心地にあるからだ。「飛山濃水」という岐阜県を表す言葉に納得できる。周囲の雪の名峰を眺められる残雪期こそ真価を発揮する。 下山は彦谷左岸側の尾根を下る。このルートは2月のスキー登山で歩いたから90%は同じであった。先ずは祠を経由する。雪の尾根を下るが踏み跡は雪に埋まった小鳥峠からの林道に下っていく。軌道修正して南に振った。かのぶな林はまだ真っ白な残雪に埋まり、NTT電波塔のピークまで雪上漫歩を楽しめた。電波塔からしばらくは雪の林道を下るが背の高いガードレールを潜る所ではもう激減した。
 電波塔のピークから南東に連なるコブの南の鞍部を林道と交差する。ここがガードレールを潜る場所で、林道は彦谷とは違う所へ行く。このピークにもぶなの原生林は残っていた。巨木の風倒木に驚きながら等高線1300mの印刷のある尾根へと導かれて下る。四方八方に枝分かれする尾根の所為で道標の頻度も多くなった。 
 スキー登山の際は立渡林道と・1218mの尾根の北で交わり、密植された桧の尾根を登って登山道に合流した。正規のルートにはスノーシューの跡があった。入口の跡とはここで再び出会い、すぐ先で引き返している。無雪期のこのルートにも踏み跡はあるだろう。
 合流地から先は未知である。頻繁に見た道標がまったく無くなった。マンサクやタムシバのツボミを見ながら下る。基本的には尾根を外さないで歩いているのだが・・・。笹がかぶさってうるさいが見失うことはない。左下には林道も見えるがはるかに高度感がある。どうやら・1047mにつながるのだろう。高度計で1180m辺りで右へ角度を取って曲がった。ここで正規のルートから外れたか、と思った。踏み跡程度のはっきりしない急な道になったからだ。
 それは杞憂だった。植林がらみの笹のうるさい道から高木の森の中へと入って雰囲気が落ち着いてきた。等高線の緩んだ1100m辺りで尾根から谷へ一気に下るとそこに見慣れた字体の道標があるではないか。ああ!これで彦谷へ下れる。下りた所は今は車も通れそうに無い林道である。
 林道を下った。素晴らしい森である。樹木に掲げた看板を見ると「ハルニレ」とある。ここは保護されている森なのである。立渡林道との出あいにある大きな道標を見た。2月にもスノーシューの足跡と共に見たものだった。これで一周したのだった。
 ゲートを越えると卯の花街道である。車を置いた登山口までは約350mもあろうか。車に戻ると時刻は午後4時過ぎ。休みを含めて7時間30分の程よい登山でした。女性たちは蕗の薹を摘みながら中々来ない。現場まで迎えに行くと袋一杯の蕗の薹を誇らしげに見せてくれた。車中でゴミを取りながらのドライブとなった。ただでは帰らないおばさんたちである。
 清見ICから断続的な渋滞で往きの2倍以上の4時間半かかって午後8時過ぎ帰った。飛騨が近くなったと思うワンデイ登山でした。