土地鑑がある?2006年12月30日

 普通土地カンがあるという場合は新聞記事でこの犯人は土地勘があるという風に使ってきた。疑いもなくそう書いたものである。登山でも何回か登って大方は知っているが未知の部分も残っている、という場合、土地勘があるという理解であった。
 12/29の読売新聞のネット記事を読んでいたら新宿の事件に関して「土地鑑」が使われていた。おやっと思いメールで問い合わせたら

さて、「土地鑑(とちかん)」の件ですが、回答させていただきます。
土地カンのカンは、「勘」ではなく「鑑」が、本来の書き方です。「鑑」には、「鑑定」「鑑別」などと使われるように、「見分ける」「見極める」の意味があります。その土地を知っていて、地形や道路などを正しく見分けられるのが「土地鑑がある」ということです。漠然とした「勘」だけが頼りなのではありません。
もともとは警察用語で、犯罪関係の隠語や俗語を集めた辞書類にも、「土地鑑」の表記で載っています。前者も間違いというわけではありませんが、読売新聞としては、「土地鑑」で表記を統一しております。ご理解のほどお願いします。

以上の回答があって意外であった。あわてて広辞苑を引いたり、ネットで検索してみると意外や多くヒットしてきた。最初から検索すればよかったものを。それに過去にもそんな例はあって読者から読売にどっと問い合わせが押し寄せたらしい。その度に読売はこんな回答をしているのであろう。
 これは多分、新聞記事か雑誌、TVなどで自然と覚えて今まで何ら疑問を感じなかったからだ。しかし、土地鑑は同じ山の同じコースを繰り返し登らない限り生まれない。常には未知を求める登山者としては土地勘の方がより実感が伴うと思ったことである。
 土地鑑があれば道迷いもなかろう。山勘だけが頼りならあるいは道迷いがあるかも知れない。登山でも犯罪であっても(登山者や犯罪者にとって)リスクの多いことは土地鑑がしっかりしていることが望ましいのである。