冬山路俄かに温き所あり2010年02月02日

『虚子五句集』(上)から。昭和19年。
 11月半ばの小諸辺りの里山を歩いての嘱目だろう。俄か、というからにはそこまでは霜柱の下りた道をざくざくと歩いていたのである。或いは木立の中の日光の差さない道である。倒木とか伐採跡などで南面ならば日溜まりに出合う事がある。そこは風通しも良くなくてちょっと腰を下ろしてみたくなる。
 「おい、ちょいと休んでいこうか」
 「ああ!熱いコーヒーでも飲もうか」
 「それもいいな」
などと会話を交わしながら低山を歩くのだ。