株式市場大暴落 行過ぎた金融国際化の破綻2007年08月18日

 今日の朝刊は日本株の大暴落を一面で伝えた。為替証拠金取引も商品相場も軒並み下落。同時にアメリカは金利を下げて沈静化をはかろうとしている。日銀は金利を上げられず、だ。
 大暴落の震源地はアメリカのサブプライムローンの破綻という。過去多くの金融商品が発売されては破綻をしてきたが皆アメリカである。不動産を証券化した金融商品を発売したり、少し前は電力会社の株式で損失をこうむった投資家がいた。ITバブルの崩壊もアメリカだった。
 アメリカは収入よりも多く消費する国である。世界中から物を購入してるからドルが足りない。ニクソンショック以前は金の裏づけがあってドルを印刷していたが追いつかないので止めた。今はいるだけドルを印刷する。有り余るドルを買っているのはかつては日本、今は中国である。しかしドルでかったアメリカ国債は売らない約束があり売りたくても売れない。
 日本はがつがつ貿易特に輸出で稼ぎまくる。もらったドルを円に交換して社員にカネを払う。日本の消費者はそんなに物を買わないから貯めこむ。しかし円の金利が極端に安い今は円を売ってドルを買い外国の投信や債券を買う。すると円安になり輸出企業は利益を得やすくなる。この2年余りは個人、企業もいいことずくめであった。本当は米国債を売って円安を解消すればいいのであるが。
 いいことはいつまでも続かない。悪いことも続かない。ここで転機が来たと見ていい。
 アメリカは常に金がない。だから危ない金融商品を開発して世界からカネを集めるための知恵を使う。集まったところで(ニューヨーク株式が史上最高値になった段階で利益確定のために大量ウリして)暴落の冷や水を浴びせる。投資家は最初は押しと思って買いを入れるが続かない。再び誰かが大量ウリを浴びせる。おかしいと思った投資家はさっさと逃げる。
 日本企業は業績がいいから、と売らせない情報を流して日本株は下がりにくい状況であった。度重なる先物ウリを浴びせて投資家の危機意識を煽りついにウリがウリを呼んで暴落するに至った。元々円キャリートレードでドルを買っていたから下がるドルに耐えられずに手仕舞い。利益の出ていた日本株を売って損失を埋めるウリが一挙に出た気がする。信用で買っていた人は担保不足で追証となりこれまたウリ要因となる。円高になれば輸出で稼ぐ優良企業の株も暴落する。買いたい人が多い優良株ほど落差がひどい。
 対策としてはやはり給料を上げて日本人の収入を増やし、国内消費を増やすしかない。国内消費が増えれば経済が活気付き雇用も増える。税収も増える。中小企業の資金需要が高まれば金利も上げざるをえない。高金利でも利益がでれば借りてでも設備投資を増やす。 
 個人は国内の金利が上がれば何もリスクの高い外為などに手を出さない。輸出で頑張れば常に円高になる。現地生産すると国内の雇用が減る。デフレ不況で超低金利の日本から逃げた投資家は金利の高いアメリカにおびき寄せられて行く。大暴落で大損をしてアメリカは輸入で出て行ったドルを再び還流させることに成功した。またしてもアメリカの勝ち。
 様々に考えをめぐらすと一番の決め手は給料アップしかない。国際相場での給料はすでに(ドル換算で)高いというが最低賃金は世界一安いレベルだ。国内だけで消費するなら高い価格を設定したらいい。
 シンボル的なトヨタでも国内販売は減少しているらしい。グローバル化をいうから国内でも幅180センチ前後の広いクルマは売れず、狭い軽しか売れない。少々高くても国内の事情にあった車であれば売れるだろう。
 行過ぎた国際化がもたらした大暴落だったと思う。