映画「生きてはみたけれど 小津安二郎伝」鑑賞2007年08月15日

 1977年の新藤兼人監督の映画「ある映画監督の生涯 溝口健二の記録」を以前に観た。死後21年後に39人の関係者の証言を掘り起こすいいドキュメントであった。新藤自身も脚本家であったから溝口監督はいい弟子を持ったのだと思う。
 この作品は死後20年目の1983年制作で井上和男が監督。制作は松竹であるがわずか16人の関係者が出演しただけである。小津は弟子を育てなかったといわれるがここにもそれは現れている。「東京物語」の助監督を途中から務めた作家の高橋治氏が出ていないのは不思議な気がする。1982年に『絢爛たる影絵』を出しているからだ。
 未だ韜晦を貫く主演の原節子出ず、交通事故で死んだ佐田啓二出ず、往年の名優も軒並み物故されたのであろうか。松竹が制作したために他社の俳優は出演しづらいものがあったかも知れない。今一物足りないがそれでもなぜかふつふつと人となりがイメージされて良かった。
 15日の今日はお盆である。愛知県図書館に昨日よりは10分早めに来てならんでなんとか4番札をもらった。10時過ぎから観て終ったら12時を回っていた。画面に釘付けの2時間であった。
   ”盆は小津安二郎伝を観て過ごす”
 その後クルマを停めておいた愛知県護国神社の周辺は右翼らしい街宣車がずらり並んで止まっていた。私も参拝のために境内に入ると整列した右翼の若者達が参拝を終えて出てきた。静かになったところでお参りした。東京の靖国神社でも同じ光景であろうか。
 帰宅する途中余り暑いので書店で「岳人」を買い、並びの喫茶店で今夏初めて氷水を食べた。さすがにいい消夏にはなった。