行路難、水に在らず、山に在らず、ただ人情反覆の間にあり(白楽大 太行路)2021年06月02日

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2015年5月22日
行路難、水に在らず、山に在らず。ただ人情反覆の間にあり。(白楽天「太行路」)

人生行路の難しさは、山や川の険阻にあるのではない。常に反復する人情の頼りなき点にあるのだ。

原文
http://www5a.biglobe.ne.jp/~shici/shi4_08/rs429.htm

太行の路(みち) 夫婦に借(か)りて以て君臣の終(を)へざるを諷(ふう)する也

太行の路は 能(よ)く車を摧(くだ)くも,

若(も)し 人の心を比すれば 是れ 坦途(たん と)なり。

巫峽(ふ けふ)の水は 能(よ)く舟を覆(くつが)へすも,

若(も)し 人の心に比すれば 是(こ)れ 安流(あんりう)なり。

人心の好惡(かう を) 苦(はなは)だ 常(つね)ならず,

好めば 毛羽(まう う)を生(しゃう)じ 惡(にく)めば瘡(きず)を生ず。

君が與(ため)に髮を結びて 未だ五載ならざるに,

豈(あに) 期(き)せんや 牛(ぎう)と女(ぢょ)の 參(しん)と商(しゃう)とに爲(な)るを。

古(いにしへ)より稱す 色 衰(おとろ(へれば 相(あ)ひ棄背(き はい)すと,

當時の美人 猶(なほ) 怨悔(ゑんくゎい)す。

何(いか)に 況(いはん)や 如今(じょこん) 鸞鏡(らんきゃう)の中(うち),

妾(せふ)が顏(かんばせ)の未だ改まざるに 君が心 改まる。

君が爲に 衣裳(い しゃう)を熏(くん)ずれば,

君は蘭麝(らんじゃ)を聞(か)ぎで馨香(けいかう)とせず。

君が爲に 容飾(ようしょく)を盛んにすれば,

君は金翠(きんすゐ)を看て 顏色(がんしょく)無しとす。

行路 難なん,

重(かさね)て陳(の)べ難(がた)し。

人 生まれて 婦人の身と作(な)る莫(な)かれ,

百年の苦樂は 他人に由(よ)る。

行路 難なん,

山よりも難(かた)く,

水よりも險(けは)し,

獨(ひとり)り 人間(じんかん)の夫(ふ)と妻(さい)とのみならず,

近代の君臣も亦た 此(か)くの如し。

君 見ずや左納言( さ なふげん),

右納史(う ない し)。

朝(あした)に恩を承(う)け,

暮(くれ)に死を賜(たま)ふ。

行路 難(なん),

水に在(あ)らず,

山に在(あ)らず。

只(ただ) 人情 反覆(はんぷく)の間(かん)に在り。