八曽山を歩く②・・・源流の湿地帯を中心に2021年05月18日

 老鶯が近寄りて啼くおもてなし  拙作

 5月3日の八曽山が良かった。名古屋市の北にこんなに豊かな自然が残されているなんて知らなかった。標高は低くても人間が干渉(森林伐採、植林、工事など)しなければ自然はちゃんとあるがままに姿を見せてくれる。そんな余韻がいつまでも緒を曳いて今回の訪問になりました。
 今日は早々と梅雨入りしたが、束の間の晴れ間が半日ほどは確保できそうなので、先回は地道でしたが、平日で通勤時間帯は渋滞するので名二環と小牧まで高速を利用した。
 既登の八曽山よりも湿地帯や愛岐県境の様子を見たかったので亀割大池の登山口(5/14に下見)を起点にした。まずは愛岐県境をたどる。右愛知県は桧の植林、左岐阜県は雑木林で近くのゴルフ場の人の声が聞こえてくる。見た目には緑のトンネルである。これが素晴らしい。今日は無風で少しむし暑いのでタオルを首にかけて歩く。
 すると短期間に次々と湿地帯へ誘う道標の類が出てくるのである。心の中で湿地帯は良いよ、尾根歩きよりは楽しいよ、というのだ。基本は愛岐県境=一ノ門線の踏破だったから最初はパスしたが二つ目では誘惑に負けて湿地帯に下った。八曽滝の源流地帯である。植林帯への緩やかな杣道の誘惑についに負けてしまった。地形図で270mの等高線が南へと尾根を伸ばしている。八曽滝の源流部は鹿の角のように北へと水線(青)を食い込ませるが、もっとも最北の水流である。源流部にも道標があった。
 湿地帯は明るかった。なにしろ常に水分が補給されて、腐葉土が出来ず、地質がやせてしまうせいか、高い樹木は育ちにくい。つまり杉や桧の植林には向いていなかった。くぬぎなど実のなるブナ科の雑木も見当たらない。だからなんだ、炭焼き窯の跡がまだ発見できない。ここはおそらく里山にすら愛されなかったのだろう(利用)。登山口付近では成長の悪い赤松があったから薪炭林として伐採はされたのだろう。稜線は伐採されたがほったらかしだったのだ。そのせいで、自然休養林などという変な地域に指定したのだろう。
 湿地帯を抜け出すと林道に出た。三差路でちょっと戻る形になる。林道と山の神への道は平行していた。ふたたび林道歩きになり、道標にしたがって五条川の流れにまで尾根を下ってみた。名大の地震観測所の建物があった。そこからモミの木キャンプ場へは近かった。厳重なゲートを抜けるとキャンプ場だ。5/15から5/31はバーベキューの川岸とも閉鎖中だった。
 巌頭洞(がんどうぼら)への道標があるが、少し車道を歩くとエスケープルートがあり、そこから入る。道はほとんど上下もなくよく整備されている。五段の滝というがあまり迫力はない。巌頭洞に近くなるとなるほど谷間が狭くなりゴルジュ(のどもと)に見える。ふたたび岩見山への道標を見送ると前方が明るくなり、アウトドアベース犬山キャンプ場の敷地になる。キャンプ場を通過して、車道を登ると亀割大池への道を直進、右折すると出発地に着いた。朝は自分の車だけだったが数台は止まっていた。散歩代わりに来る人もいるんだろうな。
 一汗かいた。テルモスに入れておいた冷たいお茶を一気に飲み干す。もう夏山に入っているな、と思う半日だった。
 帰路は520円と格安な犬山市の温泉「犬山市民健康館 さら・さくらの湯」に寄ったらメンテ中で休館。それで名古屋市北区の庄内川沿いの「庄内温泉 喜多の湯」に入湯。650円とリーズナブルな利用料。遅い中食もとった。中区へ行って職場に行きかけたがぽつりと雨。予報通り午後は雨だ。引き返して帰宅した。