学問のカネと地位2020年10月27日

 菅新首相になってから「日本学術会議」で105名中6名が除外されたということで、ネットや新聞等で議論百出している。騒ぎ出したのが日本共産党発行の「赤旗」でそこから日刊紙へ飛び火して今は燎原の火のごとく燃え広がった。
 しかし、任命されなかった人には気の毒だが、地位が高くなっても相変わらず日本批判を続けているようでは仕方ないではないか。カネを出す人(国)をあれこれ批判するなんてどうかしている。「日本学術会議」の外にでて批判するのは一向に構わない。
 学問するということはカネがかかる。学問で国のカネを得たい、国のお墨付きの地位を得たいという乞食根性が情けない。
 今西錦司は京都西陣織の家に生まれた。家業は継がず、もっぱら好きな登山を続けるために生物学を専攻し、猿学の権威になった。京大時代の駆け出し時代は無給だったからむしろカネをつぎ込んだのであった。
 小林秀雄の講演を集めたCDの中に本居宣長の出版とカネの話が出てくる。松阪市で町の小児科をやり、源氏物語を教えたりして小銭を稼ぎ、それで古事記の研究書の原稿を書いていった。宣長は存命中は本の上梓を見ることはなかった。今の学者、評論家、作家なら部数いくら、印税いくらでという話になる。
 学者なら宣長のひそみに倣えと思うのである。