俳句に詠まれた伝染病ー感染を怖れて居れずコレラ診る(幸野梨枝)2020年03月08日

 虚子編『新歳時記』(昭和9年)と稲畑汀子編『ホトトギス新歳時記』(昭和61年)の両方ともにコレラは採用されています。ほぼ踏襲されています。コレラ、赤痢、瘧(ぎゃく、マラリアのこと)、霍乱(かくらん、くわんらん、急性胃腸カタル)など。
”遠巻きにコレラの掲示読んでおり(林とくろ)”

”感染を怖れて居れずコレラ診る(幸野梨枝)”
・・・この人はたぶん医師か。今も毎日コロナウイルスの感染者の治療に当たる医師たちがいる。

”赤痢出て野崎参りも絶えにけり(森川暁水)”

”霍乱の手にはなたざる手綱かな(前田普羅)。
・・・健康な人が病気にかかるのを鬼の霍乱というがこれが由来。

 ちなみに戦前の虚子編には「コレラ菌により発病する伝染病をいう。病勢激烈でこれに罹るときは頻繁に嘔吐、下痢を起こして忽ち衰弱し、高率な死亡率を示す。印度から中国を経て我国にも伝わることがあり、多く夏から秋に発生する。コレラ船はコレラ患者の発生した船。夏期はこの種の伝染病予防のため海外からの航行船に対して厳重に検疫を行う」とあります。