三河一向一揆・・・研究発表会2020年01月26日

 新城市富岡ふるさと会館で13時30分から同会の研究発表会が開催された。集結したのは約50名と多数。研究発表は2名でどちらもパワーポイントで視覚的に解説されて分かりやすかった。
 テーマは表記の①三河一向一揆の話で講師は中野豊光氏。
 ウィキペディアには「三河一向一揆(みかわいっこういっき)は、戦国時代に三河国の西三河全域で永禄6年(1563年)から永禄7年(1564年)まで半年ほど行われた一向一揆である。」と紹介された歴史的事実である。
 まず一向一揆とは何か、門信徒の勢力の強い教団はどこか、などの基礎的知識を解説しながら核心に迫ってゆく。この事件に関与したお寺を紹介しながら、徳川家康が如何にてこずったか、の興味深いお話でした。家康といえども最初から三河国一円を睥睨したわけじゃない。多大な収益源を確保したお寺は強い。(約10年後の1570年から1574年に織田信長も長島一向一揆で手を焼いた。)
 和議の成立と決裂・・・一旦和議を結ぶが約20年にわたってくすぶり続けた。結果的には追放である。
 またウィキペディアには「この経験により、家康は本願寺教団の力が戦国大名にとって大きな脅威であることを身をもって理解することとなった。これが後世、本願寺教団の分裂に際し、教如を支持する一派(今の真宗大谷派)に土地を寄進して分裂を支持する行動に繋がった」との解説がある。
 中野氏は冒頭の教団の勢力図の解説でも浄土真宗が西本願寺派と東本願寺派とに分裂した話をされたがこれが原因だったのである。
 途中で気が付いたのは、徳川家康の扱い方である。講話中の中野氏が徳川家康で通していることに違和感を持ったのである。
 1 今川氏からもらったのは松平元康
 2 1563年に今川氏から独立後松平家康に改名
 3 1566年、朝廷からの勅許で徳川家康に改める
つまり、三河一向一揆の頃はまだ松平姓であった。
 ウィキペディアは「この一揆は、三河における分国支配の確立を目指した家康に対して、その動きを阻もうと試みた一向宗勢力が、一族や家臣団を巻き込んで引き起こしたものである。その意味では、松平宗家(徳川家)が戦国大名として領国の一円支配を達成する際に、必ず乗り越えなければならない一つの関門であったと考えられる。」と結んでいる。
 お寺への信仰は自由にさせるが自治(不介入権、財力)は抑制させた。この後、家康は東三河平定へと進む。

②は新城城主の本宮山登山の記録を斎藤彦徳氏が語られた。講師の自著である『池田主鈴寛親』(山婦ミ乃記、松山ごゑ記、一の宮満つ理)を現地で購入した。これをテキストに進講した。
 「山婦ミ乃記」とは”山踏みの記録”で要するに三河本宮山の登山記である。新城城主は江戸詰めなので帰郷してのふるさとの探訪記であった。
 書かれた文政元年は1818年。江戸幕府開幕から215年、今から202年ほど前になる。明治維新の50年前になる。文面からは天下泰平の世が偲ばれる。旧暦10月3日は太陽暦で11月半ば、しかし、当時はいくら空気が澄んでいたとしても浅間山が見えたのだろうか。

 原文から引くと
「からうしていたゝきに至れハ、雲をもしのくハかりにて覚えて、四方の山々ハ海原に立浪のやうに見へて其山々の上より遠き国々の海山見へワたる、爰(ここ)にてしはし休らひ給ふ、北の方に甲斐の国・信濃の国の山々見ゆ、右のかたへよりていと高き峯に雲のかゝりたるハしなのなる駒かたけといへる高山なりとそ、雪の色ハ月毛と見へてハるかなる雲井にかける駒嶽もいとはるかに見へて、雲をいたゝきたるハ浅間か嶽也と聞て
  冬ハまた浅間かたけの煙よりつもれる雪をや見やはとかめぬ  」

 意訳・・・辛うじて山頂に立つと、山脈が波涛のように見えた。山山を眺めながら休んだ。北の方には山梨県や長野県の山々が見える。木曽駒ヶ岳が見える。雪がクリーム色に見えた。甲斐駒はもっと遠くに見える。雲がかかるのは浅間山と聞いた。そこで一首詠んだ。
 冬には浅間山の煙より高く雪が積もるのを見たらすごいことだなあ?

 中々の山岳同定である。締めの和歌は『伊勢物語』の換骨奪胎だろうか。

信濃なる浅間の嶽に立つ煙をちこち人の見やはとがめぬ      
                         在原業平

見やはとがめぬ=「やは」は反語の助詞。見とがめないことがあろうか。どうして注目しないことがあろうか。
以上
・・・晴れたら雨生山(うぶやま)から金山を歩く予定だったがあいにく雨で中止した。登山口のみ偵察しておいた。地質的に特異な地域らしいので春か秋の花の時期が良いだろう。

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