映画鑑賞『ロング・トレイル』2016年08月01日

 7/31に名古屋・ミリオン座で『ロング・トレイル』を鑑賞する。

http://www.long-trail.com/

 まず主演のロバート・レッドフォードであるが、演技力は良いとしても当年80歳の高齢で、アクティブな役柄には合わないなと思った。相棒のニック・ノルティも75歳でしかもアル中の役柄である。
 観ている最中はちょっとした動作がコミカルで笑わせる。コメディらしい運びは堪能した。但し、「人生はベストを尽くせばそれでいい!」の最後のセリフは素晴らしいが、そこへ収斂させるには荒っぽいドラマ展開である。

 それもそのはずで原作者はビル・ブライソンといい、1951年生まれというから団塊の世代に近い。アパラチャアントレイルを40歳前後で踏破している。2000年に翻訳も中央公論新社から出版されたが今は絶版になっている。原作はアマゾンで今でも取り寄せできる。

 原作のあらすじは日本語のコメントからコピペすると
「アメリカ東側に位置する3000kmは超えると言われるAppalachian trailを、60代の男二人がえっちらおっちら歩いていく話である。一人はBill Bryson、作者そのものの名前ですが、どちらかと言うとちょっとアタマのいい平均的なアメリカ人像。一方昔の同級生であるStephan Katzはどちらかというと、ちょっと足りない感じで、いろいろと騒動も起こす。ツッコミとボケの関係で、旅は続いていく。
 アメリカの大自然を描写する作風が主体であり、それに名所名所の歴史話が散りばめられる。また旅行記だけでなく、環境破壊、アメリカの動植物の変動、低体温の危険性、クマに遭遇したら・・・等々、おかたい話も挿入されている。
 AT周辺の聞いたこともないような地名がたくさん出てくるが、それをGoogle 画像でチェックしていくと、けっこう楽しい。すごいきれいな景色に出会えたり、こんなところなんだというのが実感として理解できます。
 今回初めてBill Bryasonの作品を手にしたが、ソフトな文体で、笑いやユーモアの記載も富んでいる。新宿紀伊国屋の洋書コーナーでpushするように置かれていたが、確かにimpressiveで良い本であったと思う。」

 翻訳本のコメントをコピペすると
 「ブライソンは自然歩道で何度も遭難しそうになりました。
文字が細かい上に分厚い本なので、初めは私も「読書の途中で遭難するのでは?」と思ったのですが、意外にも最後まで遭難すること無く、楽しく読むことができました。自然歩道を悪戦苦闘しながら行くブライソンとカッツの漫才のような会話は、とても楽しいものです。また、適当な間隔で、アメリカで進行する自然破壊、ハイカーが遭遇した事故や事件の状況などがデータと共に示され、「あなたは、どう思いますか?」という問いかけが行われるので、文明社会のあり方についても考えさせられます。笑いだけで終わらないところが、本書の良さだと思います。
ブライソンには、「こんな人が学校の先生だったら良いのに」と思わせるところが沢山あります。コメディアンとなっても十分成功したかもしれませんが、教師となっても大きな成功をおさめたのではないかと思います。単に批判するだけに終らないブライソンの文明観には素晴らしいものだと思います。また、成功した作家でありながら、一般庶民に近い経済感覚を失わない点も素敵です。食糧や装備補充のために立ち寄った店、食事をした店、宿泊した店、お金を払った全ての店に対して、著者は値段とサービスを検証し、「高い」「安い」で一喜一憂するのです。私も彼と一緒にアパラチア自然歩道を歩いているような気分になりました。とても楽しい本でした。」

 通りででねえ。つまり軽いアメリカンコメディとして見るなら損はない。上映中も笑いをかみ殺せなかった。観客も声を出して笑っていた。
 映画と原作の違いは上記によれば大自然の描写、歴史話、環境破壊などが割愛されていることだろう。たしか、お堅いセリフもあるにはあったが、コメディの中に吹き飛ばされてしまった。印象に残るセリフを思い出せない。
 トレッキングはクライミングと違って登頂の喜びはない。コースを歩き通す達成感にある。それを中途でリタイアしても「ベストを尽くせばそれでいい」と諦める。人生になぞらえているのだろう。ロングトレイルに挑戦する体力と気力、ヒマとカネがあるだけでも優に贅沢なこと。
 さて私はこの週末に五龍岳から唐松岳のショートトレイルに挑戦、月末には北アルプスの大キレット踏破に挑戦の予定。
 次は竹屋谷の沢登りに挑戦する。7/30に下見に行きましたが、伐採中だった場所も緑が茂り、大平林道は全線舗装、Pと遊歩道まで整備されていてビックリした。大栃のある竹屋谷を垣間見るとやっぱり素晴らしい渓谷でした。

登山はベストを尽くせばそれでいい!2016年08月09日

 8/5の夜発で8/7まで北アルプスの唐松岳から五龍岳までを元気に縦走してきた。6人が参加。8/6は八方尾根から唐松山荘へは厳しい炎暑の下、ふーふー言いながらの登りである。小屋へは12時すぎに着いた。私は寝不足を回復するため休養したが元気な5人は不帰の剣の手前までお散歩として往復した。また1人は唐松の下りで筋肉を傷めるアクシデントがあった。縦走はとても無理というので、話し合いでKさんがYさんに付き添いで八方を下ることになった。Kさんは日本百名山をすべて踏破している。その心の余裕から生まれた親切である。それでもその優しさに感謝する。
 8/7は4人が5時に山荘を出発。今日も炎暑が予想された。五龍山荘まではアップダウンの多い縦走路を3時間で予定通り踏破。山荘で休憩後、五龍への登り道に取りつく。ガレの多い岩の路である。山頂直下は岩壁の岩登りになった。岩登りのトレーニングが生きるような登りである。山頂はすぐそこにあった。日本百名山踏破77山目か?
 これまで計画しても雨で中止することもあったし、五龍山荘で泊まって雨の遠見尾根を下山したこともあった。雪辱を果たすというとオーバーか。
 山荘まで下山。コーヒーを飲んで休憩。今度は雪辱を果たすべく、炎天の遠見尾根を下山した。八方に比べるとしばらくは鎖場の連続する岩場もあってやや荒っぽい登山道である。緑陰の岳樺の中に入るとほっとする。小遠見山まで来るとハイキングの路をアルプス平まで下る。リフト、ゴンドラを乗り継いで下山。振り返ると稜線は雲が漂う。もう気象の変化の兆しか。
 山麓の駅舎まで来て出ると故障組が先回りして待機してくれた。タクシーでマイカーを回収する時間が節約できて良かった。着替えの後、麓の温泉で汗を流して帰名した。
 足の筋肉痛の故障で下山したYさんは元々体力のない人だった。それでも唐松岳には登頂できたのだ。最近見た映画「ロング・トレイル」の印象的なセリフを思い出す。アパラチアントレイルを途中で目的を果たせずリタイアしても「人生はベストを尽くせばそれでいい」と言った。中ア・宝剣沢、黒部源流縦走などの実績はあるが今回は体力の限界に達したようだった。登山はベストを尽くせば良いじゃないか。諦めることも人生のうちである。

8月句帳2016年08月10日

炎天の八方尾根をありくかな

緑陰の路根曲りの岳樺

そそり立つ不帰ノ嶮壁夏の空

雪渓や三角錐の剣岳

人人でごった返すや登山小屋

ビール飲む例えれば実(げ)に甘露かな

山涼し信越の国境行く

夏の山かぶさるごとく聳へけり

岩攀じて天に至れば五龍岳

お花畑通るべからず遠見尾根

山麓のお湯に癒され夏おはる

味の濃き肉を食ひたし普羅忌かな

「山の日」に聞く歌は「山河」♪2016年08月11日

 作詞:小椋 佳、作曲:堀内孝雄。オリジナルは五木ひろしだが島津亜矢の歌唱力が断然素晴らしい。コンサートで生で聴いたがコブシがなく素直に歌い上げる。
https://www.youtube.com/watch?v=wWVyGQ-QLYg

奥美濃・大岩谷2016年08月14日

 伊吹山地とは伊吹山の北の金糞岳辺りまでをカバーする1300m級の山なみをいうらしい。その間に地形図に山名がある山はない。それでも国見山、虎子山、ブンゲンと知る人ぞ知る山が連なる。よく整備された登山道のある山は伊吹山と金糞岳に限られる。一般の登山者から忘れられた言わば秘境的な山域である。
 中でもブンゲンは1269mの標高があるが好事家くらいしか登られない。しかし、沢に限れば岐阜県側でも滋賀県側でも花崗岩質のきれいな沢が突き上げる。岐阜県春日村は西谷という。西谷の右俣が竹屋谷、中俣が大岩谷という。その他にいくつもの沢が江美国境に突き上げる。中でも竹屋谷は滑や樋状の滝が美しく江美国境に突き上げる。
 今回登った大岩谷も両門の滝があって美しい渓相を競う。大岩谷には近年遊歩道まで整備されていて驚いた。以前、沢納めで遡行し、ブンゲンに登頂、また下降した。うっとりするような黄葉の谷に突然雪が舞ってきて驚いた。当時は伐採中で下山すると焚火をしていたのでしばらく当たらせてもらった。林道も未舗装だった。
 午前6時、一社駅前で2人を拾い出発。渋滞気味の名神一宮ICを経て大垣ICで降りる。すぐに揖斐川堤防道路を走り約100km、2時間弱で美束の奥の尾西に着く。右へ大平八滝の案内板に導かれて大平林道の大岩谷の入り口に着いた。完全舗装だから隔世の感がある。その上に山主は遊歩道を整備して観光地化するようだ。駐車場も2か所整備してありかなり本気である。
 身支度後、熊避けのドラム缶を鳴らして入渓。一の滝から遡る。久々の水に体が喜ぶ。周囲は落葉広葉樹の森の中を清冽な谷水がほとばしる。滝ごとにフィックスロープや巻き道もあるがなるだけ谷芯を行く。体のキレが悪いのは体重が減っていないためだ。二の滝、三の滝と続々遡り、八の滝で観光滝道は終わる。谷沿いの路を戻らなくてもいいように帰路も設けてある。
 さて、本格的な遡行領域に入った。周囲は二次林の落葉広葉樹の森である。緑一色の谷の中、滝は連続するが傾斜が立ってきた。スケールも若干大きい。直登を試みるが巻道も行く。次々突破する。大きな5m以上の滝を巻くとついに両門の滝に着いた。左から右からの谷が一つの滝になっている。奥秩父の両門の滝のスケールには及ばないがコンパクトなまとまりが良い。あの黄葉の時の感動には及ばないが、万緑の中のやや多い水量が迫力ある渓谷美を魅せる。これは右から滝上に巻く。
 巻いた後は平凡な渓相が続き、二股を分ける。地形図でチエック。水量は同じだが右がやや多く本流と見て直進する。再び二岐になる。左がブンゲンに突き上げる本流、水量の少ない右は1095mの独立標高点に突き上げる谷。明瞭な二岐である。11時になり、ここまで3時間経過したこと、ヤブが覆うようになったことを鑑みて遡行を終了。1095mの尾根に上がることとした。11時、早めの中食を済ます。
 岩っぽい谷だが中途ですぐに踏み跡が横切っていくのに遭う。桧林の中を忠実に辿り尾根の背に到達すると踏み跡が下ってゆく。しばらくは植林内を順調に下った。傾斜が大変強くなり、伐採はしたが傾斜の関係か、植林はせず、放置したままの二次林の中でストップ。植林が尽きて二次林の中のけもの道を追った。。なるだけ尾根を追いながら且つ浅い谷に下ってみた。困難さはなく、本流に合流した。
 八の滝へはすぐだった。地形図では本流沿いの尾根を下ったのだろう。若いお嬢さんと両親らしい親子3人づれが滝の探勝に来ていて驚く。こんなところでも軽装で来るのだ。あちらも「凄い」と驚いた。
 私たちはフィックスロープの垂れ下がる谷を下降していった。6から7滝付近で観光用探勝路を下った。そのまま歩くと駐車場に戻った。帰路は薬草風呂で一風呂浴びた。猛暑の名古屋へ帰った。もう少し沢の涼しさに浸っていたかったな、と贅沢な思いが募った。

昭和天皇の終戦の御製2016年08月15日

爆撃にたおれゆく民の上をおもひいくさとめけり身はいかならむとも

身はいかになるともいくさとどめけりただたふれゆく民をおもひて

国がらをただ守らんといばら道すすみゆくともいくさとめけり

外国(とつくに)と離れ小島にのこる民のうへやすかれとただいのるなり

以上
ブログ「日本の素晴らしい歴史」から
http://blogs.yahoo.co.jp/mozugoe/8557601.html

インプラント治療は歯医者の敗北である2016年08月16日

週刊ポスト2016年8月19・26日号

「インプラント治療は歯医者の敗北である、という言葉をご存じですか? 患者の歯を守れなかったからインプラントになるわけですから、“自分はインプラントがうまい”と自慢している歯科医は根本的に間違えている。

 本来は歯を残すための、根管治療などが評価されるべきですよね。私は最後の手段としてインプラント手術を行なうこともありますが、まず歯を残すことに全力を尽くします。患者さんも気づいてほしいんですが、一般的な医療で安さを競うのは異常ですよね。美容整形とインプラントぐらいでしょう。
 
 そういうメンタリティの歯医者に手術を受けて、痛い目にあうというのは自業自得な面もあります。週刊ポストの記事に意味があると僕が感じるのは、こういった危険な落とし穴を一般の人が理解することに繋がるからです」
以上

・・・・最先端の治療技術全般に言えることだ。ブリッジですら根治ではないと今さら遅いのだが気づいた。治療箇所のメンテナンスの不完全さが次の破損につながるからだ。それに虫歯になる部分は義歯に覆われてメンテナンスそのものが行き届かない。歯間ブラシを使うが完全には取り除けていない。
 結局、口臭やぐらつきなどから判断して早めにブリッジを解体して掃除するとか消毒で治療することになるだろう。

里山の話2016年08月18日

 午前10時、先月の「山の日」の広告企画で面識を得た広告社の社員の来訪に応対。新たな広告の企画しているので里山の活動の話を聞きたいとのこと。ざっくり話をするが組織の責任者に話をつないで終わった。只木良也の『森と人間の文化史』(NHKブックス)を読むように勧めておいた。
 かつての里山は豊かな森の恵みを得るために頻繁に入っていた。建築材、薪炭利用だけでなく、枯葉は肥料になったし、枯れ枝は薪として燃やした。何も無駄が出なかったのである。戦後、石油をふんだんに消費できる時代になると森に入らなくなり、雑木林は薪炭林としては無用になり、伐採して杉や桧を植えた。下草、間伐などの手入れを怠ると森は荒れた。
 それをかつてのアルピニストが借り受けた。ピッケルをふるった手にノコギリや鎌に持ち替えて、伐採、枝うちなどに精を出した。素人には無理ですよ、と拒否する愛知県の関係者の反対を押し切って「さなげの森づくりの会」の活動が始まったのである。
 最終的には人間に心地よい落葉広葉樹の森に復元するのだという。放置しておくと元来の森である照葉樹林に還ってしまうそうだ。だから人工的に干渉して雑木林でとどめるというのである。地味ながら知的な活動である。さてどんなことになりますやら。
http://www.shinrin-ringyou.com/shinrin_seitai/seni.php

8月句帳22016年08月21日

      8/11は山の日の祝日
     島津亜矢の「山河」を聴く
山の日や亜矢の「山河」の素晴らしき

      8/13大岩谷を溯る
秋の山叫んで熊を遠ざけよ
 
8月の緑なす谷溯る

べったりと岩に咲いてるいわたばこ

秋暑し汗だくだくと流れけり

新涼や滝しぶき浴び谷を行く

     もらった鈴虫の子が鳴き始める話
鈴虫が鳴いたとかまだとか話す

      8/15終戦日
終戦の日を狙うかにシナの船

終戦日桜井誠結党す

靖国を心に拝む終戦日

外国のどこも悪辣終戦日

平和とは備えて防ぐ終戦日

     8/20 仕事
月末の残る暑さの事務所かな

仕事など進まず残る暑さかな

地下駅を出れば街路にさるすべり

     8/21エレベーターで少年に問う
夏休み残り少なし宿題は

     8/21桜通りから名駅方面を仰ぐ
都会にも秋らしき青空のぞく

奥三河・清水谷遡行2016年08月27日

 8/26から8/28にかかけて予定していた北アルプスの大キレット縦走は台風接近のため中止。代案として涼しい沢登りに出かける。鈴鹿は蛭被害が多そうなので奥三河を選んだ。

 朝6時10分金山駅前に集合、5人で出発。名古屋高速の高辻ICから新東名の鳳来峡ICまで一気に走れる。奥三河の山歩きには革命的なアクセスの便利さになった。登山口の宇連ダムへは7時30分と早い。鳳来湖は干上がっていました。タイトなカーブの連続する湖岸道路をくねくね走る。設楽町と新城市の境にある第10岩脈も見えました。車を停めて普段は湖底にある第10岩脈の穴滝を路上から見学する。すぐに登山口の宇連橋に着いた。
 身支度を整えて8時半出発。宇連橋を渡って左折すると林道を歩く。対岸からの橋を見送って進むと清水谷と林道の高さが近づく。林の中の踏み跡を辿って入渓する。
 三輪川の支流・清水谷右俣(実は左俣右)は平坦なところは滑床が続き素晴らしかった。足をじゃぶじゃぶ流れに浸す。水量は少なく水の抵抗はない。いっぺんに冷涼な気分に浸れる。この楽しさは沢登りならではのもの。中流部では滑滝、ポットホールの非常に深いゴルジュ、など変化の多い沢でした。
 ポットホールは石ころが水の流れで回転し浸食した自然の造詣である。ゴルジュの滝壺の一つ一つがポットホールになっており、何とかなりそうに思うがつるつるの岩盤で支点がすくなく、また水の流れがないため風呂桶みたいなポットホールも底の方では渦を巻いて一旦足を入れたら引き込まれて抜け出せない恐れもある。底の見える深さは私の胸くらいであるが青く深いところは入るのを止めた。
 子供の頃、水泳場にしていた川も岩盤の一部にそんな危険個所があって自殺した老人もいた。入水すれば足を引き込まれると知っていたわけである。鈴鹿の仙香谷でも淵に引き込まれて溺死した事故があったと記憶している。
 そんなわけで左岸を巻いた。微かな巻道があった。
 標高450m付近から沢が立ってくる。岩脈を突き破るように10mほどの滝が落ちている。右岸を巻いて岩脈に着いたら下へ辿り、スリングで川床に下りた。そこから更に滑が続く。やや傾斜をともなった滑滝をフリーで攀じ登る。日頃のクライミングの成果が試される場面である。
 やや平坦な場所で一休みする。目の前に滝が落ちている。更に奥まったところには30mの滝らしいのも見える。ここで約3時間、11時半になった。空は台風の影響でどんよりしているし、午後からは降雨もありそうということで遡行を打ち切る。納涼沢登りの目的は達した。
 宇連山には登らず、下山は左岸の山腹を探るように上部へ登る。すると浅い枝谷があり、大きな岩があるので更に上部を巻いた。眼の上に明らかに石組みが見える。近寄って見ると古い山道を発見。所々に炭焼き窯跡があったから、多分、炭焼きの往来した道の名残であろう。
 左へ登れば稜線の登山道につながりそうだが降雨の事もあり、右へ下る。シダが覆う廃道であるが道形はほとんど残っていた。枝谷をまたぐところのみ注意を要する以外は順調に下れたので相当早く下山できた。古い赤テープも発見した。三河の山では珍しい。沢に平行して歩くと路もはっきりしてきた。遡行中に見た廃屋も通過して正しい道を確認する。右岸左岸を渡り返しながら行きがけに見送った橋を渡って左岸の林道に戻った。車まで戻るとメンバーから安堵の声がした。小さな冒険に満足したのである。大キレットのスケールとスリルには及ばないがガイドブックにないルートを辿るのも面白い。しかも日帰りである。
 マイカーの隣には若者3人が夏の軽装で遊んでいた。小さな動物は何と野生の子猿だった。親からはぐれたのだろう。餌をねだっているように見えたから飼い主に捨てられたのだろうか。私の足元にすり寄ってきたり、車の荷室に入ろうとしたり、運転席に上がるとドアのところに手をかけて上がろうとするので追い払ったが、妙に人懐こい。人への警戒心がないので野生ではないと思った。
 帰路はR151へ戻り、名号の交差点から少し先の「梅の湯」を浴びて帰りました。汗と汚れを落とすとさっぱりする。入湯後は大雨になりました。山中で粘らなくてよかった。新城まで来ると残暑厳しいことを実感するような良いお天気という変な1日でした。
追記
同行のメンバーが地形図に落とした軌跡を送ってきたので見たらなんと清水谷左俣右に入っていた。廃小屋や大岩など過去の記憶通りに進んでいると思っていたが入渓地点が少し早かった。汗!

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掲示板「行ってきました」奥三河・宇連山の沢歩き
http://8425.teacup.com/koyabann1/bbs/99
小屋番の山日記
宇連山の沢・古峠・廃村
http://koyaban.asablo.jp/blog/2006/08/08/
宇連山覚書
http://koyaban.asablo.jp/blog/2006/08/12/
奥三河・宇連山を歩く・・・ガンゾモチフデ山考
http://koyaban.asablo.jp/blog/2016/06/04/8102510