『梨郷歌集』昭和4、5年の巻(昭和6年7月1日発行、私家版)は梨郷初の歌集だった。装丁は和綴じ、特製原稿用紙を袋とじという古風な体裁。原稿用紙1枚に6首を掲載。昭和4年196首、昭和5年295首を収録。
伊吹山雪のましろにいただきの日にてる見へて霧に浮きいづ
*晴れた日は濃尾平野の西に屏風のごとく存在感を見せる伊吹山。名古屋からは木曽川、長良川、揖斐川からあがる水蒸気でガスに包まれていることが多い。それでも積雪期であれば、霧に隠されていても、日光が照れば反射光により霧に浮かんで見えるというのである。
森澄雄の俳句「雪嶺のひとたび暮れて顕はるる」もこんなイメージではないか。
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