奥美濃・母袋烏帽子岳に登る2014年10月11日

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富山県富山市の結社の年次大会に出席するついでに登った。名古屋市では薄曇で冴えない空模様だった。ところが郡上八幡に来ると豁然と晴れわたっていた。急遽、晴れている所の山に変更。大和ICを出て、上栗巣に走った。
 この山も何度か登った山の一つである。母袋=もたいという不思議な山名が忘れがたい印象につながっている。確かに地形図を眺めると栗巣川の狭い谷間を走ると源流部の村ではぱあっと空が広がる感じがある。実際その通りで、母の袋即ち子宮のイメージにつながる。森進一の「おふくろさん」の名曲を持ち出すまでもないが、母への郷愁につながる。
 恵那山の山名由来も恵那=胎盤を埋めた説が有力である。昔の人は即物的に命名したものだと改めて思う。
 さて母袋を冠した訳である。地形図を右上の方へスクロールして行くと元祖烏帽子岳1625mがある。その真南の1595mの独立標高点が地元の気良(けら)川の源流にあるから気良烏帽子という。こちらと同様に地図では無名である。見るところから見れば烏帽子に見えるのだろう。区別するために母袋を冠したものと思われる。
 ところでこの名称は地名だけでなく苗字もあるらしい。全国でおよそ500、内長野県が200という。やっぱり地形から来たものだな、と推測した。
 登山道は母袋温泉のある施設の前に500円を払って駐車。そこから指導標に従って歩く。要所にはかならず道標があるので迷うことはない。貴重な唯一の水場があったが、やや細い。廃道化した林道を横切って標高1200m付近までは檜、杉の植林の中の緩やかだが暗い山道を登る。この斜面ならスキーが使える気がする。物影からごそごそと音がする。良く見ると黒いものが駆け上って行く。カモシカだった。驚かすなよ、熊でなくて良かった。
 山道の周囲が緑の落葉樹になると明るい尾根歩きになった。白樺の道というが白樺なんてあるのか。1296mの独立標高点のあるコブを越すといい感じになった。右へ細道があるので見てみるとやはり水場だった。ここは完全に枯れていた。
 1300mの等高線に登ると地形が緩やかになり、ブナの道が続いた。枯木になれば周囲の展望も良くなるだろう。すぐに意外なトイレに着いたが、これは登山者用ではなく、左下の林道から上がった作業者向けか。山頂はその向うにあった。
 山頂へは登り1時間50分を要した。東に噴煙を吐く御嶽山を眺めた。懸命の捜索にもかかわらず、未だに見つからない登山者がいる。一刻もはやく見付けてやって欲しいと願う。西の白山はガスの中だった。荒島岳が特徴のある山容を見せている。その左は姥ヶ岳、更に能郷白山が見えた。これだけ見えりゃ十分だ。
 下山はノンストップで65分だった。
 R156に戻って、北上し、白鳥ICから富山に向かった。

入善町の砂丘の1等三角点・園家山に立つ2014年10月11日

 郡上市の白鳥ICから北上。高鷲村付近でやや渋滞した。その後も断続的に渋滞気味になったのは3連休ということだろう。天気もすこぶる良い。次の目的地は入善町の1等三角点の園家山17mである。
 国地院の地形図で示すと
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 入善町の南の外れなので、黒部ICから出るつもりが一つ手前の魚津ICから出てしまった。後の祭りだがR8を走って黒部大橋手前の西小路から黒部港に向かう。YKKの大きな工場が忽然と現れる。アルミ精錬には大量の電気を使うから電気の缶詰とか電気の塊とも言う。電源に近い土地に立地するのも故無しとしないのである。
 海岸に近い県道を走って下黒部橋を渡るとすぐに園家山だった。ここも以前に1度だけ来た。1等三角点があるゆえにこんな丘の三角点にまで見逃せないのである。
 標高17.3mの園家山は砂丘の頂点にあった。Pから徒歩3分の森の中の砂地の道を辿るだけだ。そこからは松に囲まれて高い山は見えにくい。少し移動すると隙間から北アルプスが見える。
 地形図の縮尺を20万にして、南東に位置する1等三角点の白馬岳との距離は約37km、北東の1等三角点の青海黒姫山とは約35km。約40kmに一個とされる三角点網の範囲に入る。
 園家山は数ある候補地の中から砂丘という不安定な場所にもかかわらず、1等三角点の栄誉をもらったのは実に三角測量の好位置にあったという他ない。だから、入善町や黒部市からは北アルプスの後立山連峰がほしいままなのである。富山市ならば立山、剱岳岳、薬師岳が並ぶが、こちらは向こう側が信州というので格別な気分がする。
 山岳史家の中島正文(先祖が黒部奥山廻り役、JAC会員、俳人)をして白馬岳の異称たる両界岳を探し当てたのはむべなるかなということか。また、所属の俳句結社「辛夷」の入善町や黒部市の作者から山岳詠の佳作が続出するのも納得したのである。
 園家山の海岸よりは松林の中の砂地の上にキャンプ場が開設されている。ちゃんと水場、トイレの設備もある。親子風のキャンパーが楽しんでいた。海岸に出ると日本海に沈む夕日が印象的だった。明るいうちに、と入善駅に近い宿に急いだ。