登山と熱中症2013年08月11日

 昨日の奥茶臼山から下山後、飯田市が異常に暑かった。今日の新聞では、38.6℃も上昇していたことを知った。熱中症で運ばれた方も今日だけで14人もいたという。
 奥茶では登山口から山頂まで樹林の中で、直射日光は射さない。それで助かったのかも。着ていたのはポリエステルのTシャツだった。これは首周りの熱が逃げないので暑く、タオルで汗を拭き拭き登った。水分補給もしっかり。水1㍑、お茶500ミリ㍑、ほかにジュース3個などで2リットル以上は持った。1時間歩いて休む度に、水を少し含み、ジュースを飲んだ。衣服は開襟タイプがいい。
 登るときは時間を気にして飛ばした。12時までに登る。12時までに着かないなら中途下山する、とした。それだけに下山では、体力を消耗したせいか、ペースダウンせざるを得なかった。
 標高はずっと2000m以上をキープ。下界が38℃でも、1000mにつき6℃低いから、25℃前後と見られる。時折吹く風が大変心地よい。
 下山後、しらびそ峠(標高1900m)のPに停めた車内においた家庭用温度計は40℃(午後3時40分頃)を突破していた。
 下に転載した予防8ヶ条では一覧表がコピーできないが、25℃は警戒レベルとされて、積極的な休憩をとることをアドバイスする。21℃以上では積極的な水分補給がアドバイスされている。28℃以上は厳重警戒で激しい運動は中止せよ、という。31℃以上は運動中止という。
 以上から私の登山行動を振り返ると理にかなっていたことが分かった。要するに頑張らないことだった。休むということは体温を下げることなのである。

大阪府山岳連盟
中高年安全登山啓発グループのサイトから転載。

登山中の熱中症予防8ヵ条

1 知って予防をいたしましょう熱中症

熱中症とは、熱い環境で生じる障害の総称で、次のような病型があります。
 1) 熱失神:皮膚血管の拡張によって血圧が低下、脳血流が減少しておこるもので、めまい、失神などが見られる。顔面そう白となり、脈は速くて弱くなる。
 2) 熱疲労:脱水による症状で、脱力感、倦怠感、めまい、頭痛、吐き気などがみられる。
 3) 熱痙攣:大量に汗をかき水だけを補給して血液の塩分濃度が低下した時に、足、腕、 腹部の筋肉に痛みをともなった痙攣がおこる。
 4) 熱射病:体温の上昇のため中枢機能に以上をきたした状態で、意識障害(応答が鈍い、言動がおかしい、意識がない)が、おこり死亡率が高い。

2 暑いとき、無理な行動は事故のもと

熱中症の発生には気温、湿度、風速、輻射熱(直射日光など)が関係します。
これらを総合的に評価する指標がWBGT(湿球黒球温度)です。同じ気温でも湿度が高いと危険性が高くなるので、注意が必要です。また運動強度を上げるような速度で登ると熱の発生も多くなり、熱中症の危険性も高くなります。
暑い時は無理をせず、環境条件に応じた行動、休憩、水分補給の計画が必要です。

3 急な暑さは要注意

暑熱環境での体温調節能力には暑さへの馴れ(署熱馴化)が関係します。熱中症の事故は急に熱くなったときに多く発生しています。初夏の頃や夏山の第1日目には事故が起こりやすいので要注意です。
また、夏以外でも急に暑くなると熱中症が発生することがあります。急に暑くなった時には適度に水分補給の休息をとりながら、ゆっくり登るように心がけましょう。山に出かける前に短時間の運動から徐々に増やすトレーニングをして暑さに慣らしておきましょう。

4 失った水と水分を取り戻そう

汗は熱を奪い、体温が上昇するのを防いでくれます。しかし失われた水分を補わないと脱水になり、体温調節能力や運動能力が低下します。暑いときには、こまめに水分を補給しましょう。汗からは水と同時に塩分も失われます。水分の補給には0,2%程度の食塩水かスポーツドリンクが有効です。

5 体重で解る健康と汗の量

毎朝起床時に体重を量ると疲労の回復状態や体調のチェックに役立ちます。
また、運動前後に体重を計ると運動中に汗などで失われた水分量が求められます。体重の3%の水分が失われると運動能力や体温調節能力が低下しますので、運動による体重減少が2%を超えないように水分を補給しなければなりません。

この点をよく理解して山では特に登り行程、気温、直射日光などその時の状況に合わせ、マメに小休止をとり手遅れにならないように水分の補給をいたしましょう。

6 衣服は暑さ対策をしてさわやかに

皮膚からの熱の出入りには衣服が関係します。暑いときには軽装にし、素材も吸湿性や通気性のよいものにしましょう。直射日光を長時間受ける場合には帽子を必ず着用、首筋に直射日光を当てると疲労を速めるのでタオル等で覆うとよい。また半袖シャツより長袖が有効(半袖に腕カバーして、木陰で外すようにする方法もある)休憩は木陰など風通しのよいところで、リュックを降ろし衣服を緩めて、できるだけ熱を逃がしましょう。

7 体調不良は事故のもと

体調が悪いと体温調整能力も低下し、熱中症につながります。疲労、発熱、かぜ、下痢、二日酔い、貧血など、体調の悪いときには無理をしないことです。
体力の低い人、肥満の人、暑さに馴れていない人、熱中症をおこした人などは暑さに弱いので注意が必要です。

8 あわてるな、されどいそごう救急処置

万一の緊急事態に備え、救急処置を知っておきましょう。
 1) 熱失神、
 2)熱疲労は涼しい場所に運び、衣服を緩めて寝かせ、水分を補給すれば通常は回復します。足を高くし、手足を抹消から中心に向けてマッサージするのも有効です。吐き気や嘔吐などで水分補給ができない場合には病院に運び、点滴を受ける必要があります。
 3) 熱痙攣は生理食塩水(0,9%)を補給すれば通常は回復します。
 4) 熱射病は死の危険のある緊急事態です。体を冷やしながら集中治療のできる病院へ一刻も速く運ぶ必要があります。いかに速く体温を下げて意識を回復させるかが予後を左右するので、現場での処置が重要です。
体温を下げるには、水をかけたり濡れたタオルを当てて防ぐ方法、頚、腋の下、足の付け根など太い血管のある部分に氷やアイスパックをあてる方法が効果的です。(山で代替方法として冷たい水とタオルしかない)
循環が悪い場合には、足を高くし、マッサージをします。
症状としては、意識の状態と体温が重要です。意識障害は軽いこともありますが、応答は鈍い、言動がおかしいなど少しでも異常がみられる時には重症と考えて処置しましょう。

WBGTとは
Wet Bulb Globe Temperture(湿球黒球温度)
とは人体の熱吸収にかかわる環境因子(気温、湿度、輻射熱、気流)のうち、特に影響の大きい湿度、輻射熱、気温の3つを取り入れた指標です。乾球温度、湿球温度と黒球温度の値から下記の式で計算されます。
参考資料:熱中症予防ガイドブック (財)日本体育協会