信州山岳ドライブ登山①2013年04月08日

長峰山からの北アルプスの眺めー左から鍋冠山、大滝山、蝶ヶ岳、常念岳、右手前の黒い山は有明山、向こうは燕岳など
 4/5から4/7まで信州の山岳路をドライブした。帰名後、メーターは900kmに及んだ。主目的は安曇野の一角に居を移した山岳会の先輩Aさん宅を訪ねることであった。しかも、予後の身の高齢の友人のNさんをともなうこともあって登山の目的は抑えたのであるが、体調不良から参加を取りやめた。結果、80歳近い人、70歳近い人との3人で行くことになった。

 4/5、好天を期待できるのは今日だけとあって、7時、名古屋を出発。確かに天気は良いが、良すぎて、車中で汗がにじみ出る。何せ、信州の春だからと3月中旬を想定したが、構えすぎた。駒ケ岳SAでTシャツに軽い上着に着替えて丁度よい。

 10時半、豊科ICから安曇野ICに変更されて、初めて利用する。最初は、光城山(ひかるじょうやま)911.7mに向かった。ICから左折、R19に出て、左折。田沢駅近くの交差点から県道57に右折するとすぐに林道入り口があるので左折。林道は走りやすい。すぐに登山口に着く。

 ここに車を置き、空身で出発。最初は遊歩道の案内に引っ張られて、右へ行くが、これは北周りコースで、山頂には向かわないので、近くの小屋を目指したのですが、どうも山頂という雰囲気ではない。おかしい、と引き返した。登山口で大きな案内の看板を見ると、山頂へ通じる車道をそのまま行けば良いと知った。

 車止めから桜並木を縫って、わずかに5分ほどで北アルプスの眺めの非常に良い山頂に着いた。山頂には古峯神社ががあり、かつては山城だった。三角点もすぐ近くにあった。山名の城山の由来である。光は山麓の地名であった。桜の開花にはまだ早いが、中々の名所らしい。

 戻って、長峰山933.5mに向かう。山上のスカイラインを行くと、長峰山直下に着く。ここの山頂は巨大な展望台を建設中で近づけなかった。(HPによると4月下旬の完成予定)虎ロープの周囲で、特に安曇野側にはハンググライダーのゲレンデとして開かれている。立木もなく、芝生の緩斜面になっていて、家族連れにはもってこいの山である。ここからの眺めは一段と北に開けている。展望盤もあり、この時期は素晴らしい。

http://www.city.azumino.nagano.jp/kanko/enjoyazumino/trekking/hikaru_nagamine.html

http://w1.avis.ne.jp/~nakajima/kaisetuchu/hikarujouyamatxt.htm

 眺めを堪能した後は、Aさん宅へ向かった。林道を道なりに下って行くと県道302に出て、R19を走ると明科駅はすぐだった。R19の塔の原の信号から県道51に右折し、Aさん宅の地へ行く。池田町の道の駅はスキーや登山の往復で仮眠したり、休憩するがすぐ近くだった。

 Aさん宅は山腹に建っていた。明らかに農家ではない、瀟洒な北欧風のデザインは、都会からの移住の家と分かる。そんな家が、農家に混じって、あちこちにある。入らせてもらうと、マンションの一室を切り取った感じで違和感はないが、田舎に来た感じもしない。家は都会的だが、眺めは北アルプスを見放題という贅沢なものである。特にいまどきは素晴らしい。そのために訪問時期も今を選んだ。

 格別の暖かさは今日だけですよ、と奥さんに言われた。梅の蕾が見る見る開いてくる。木蓮の蕾も大きくなる。木々もみな温度に気を許して開花を促されているようだ。

 桃の花の強めのピンク色に、真っ白な北アルプスと静かな山村風景のたたずまいはいつまでも失わないで欲しい。

 私が勝手に描いていたのは、入ると三和土の土間に台所、風呂などの水周り、上り框の奥に座敷があり、お茶の間、客間、仏間、といった間取りであった。要するに田舎の家である。

 この家に、高齢の御母堂を伴い、奥さんを説得して田舎暮らしを始めたのであった。息子さんは東京で職を得て自活し、娘さんは信大医学部の医師として松本市で家庭を営んでおり、中々に戦略的な人生設計に感心もする。老後の心配の一つには医療があるが、身内におればこんな心強いことはない。

 Aさんは「安曇野だより」という小冊子の発行を始めた。日常生活や登山、釣り、農作業、家族の話題、山の本、交友録を綴った。これが友人、知人らに配ると好評で、知人を通じて見知らぬ人からも催促されたらしい。なぜなら、Aさんの定年退職後のハッピーリタイアメントに好奇と興味の心をもたれたに違いない。

 私も恵贈を受けたので、丸山健二『田舎暮らしに殺されない方法』(朝日文庫)を引用して、賞賛と心配の入り混じった礼状を書き送った。
 友人の多いAさんのことだから、そして東京からも訪ねてくる友人が多いらしく、田舎暮らしにありがちな孤独感を味わうことも無さそうである。

 天気は崩れそうには無く、まだ時間もあるので、麻績村の聖山へ行きましょうと提案したら、みな賛成してくれた。Aさんの奥さんも同行してくださる。県道51をまたR19まで戻る。明科駅の先でR403に右折すると篠ノ井線や長野自動車道と並行する山岳路を走る。聖高原駅を見て、道路は山間の小盆地から羊腸の道を登り、聖湖に着く。その先に猿ヶ馬場峠がある。

 右折すると一本松峠へ行く。冠着山(姥捨山)1252.2mの登山口になっている。一本松は井上靖原作『通夜の客』の映画「通夜の客から ある愛」のロケ地であった。28歳ころの美しい有馬稲子の代表作である。この映画をTVで観た。その後、ネットで松竹からダウンロードして観たが、背景に北アルプスの山なみが出てくるのでびっくりした。山陰の中国山地では絵にならないので、ここが選ばれた由。

 聖山へはR403の聖湖から左折する。狭くて、タイトなカーブの登り坂をエンジンを唸らせながら登坂する。雪が解けて地肌がでたばかりの感じである。いくつかのポイントを過ぎると、いよいよ山頂への最後の看板を見る。白樺湖から聖山の北面に開かれたスキー場の斜面を登る。山頂直下まで道は続いていたが、小広いところに止めた。蕗の薹が一杯生えている道を徒歩で5分?ほど喘ぐこともなく、1447.1m山頂に着く。平成5年に改埋された右書きの一等三角点本点の山である。

 周囲の一等三角点を思いつくままに挙げてみると、前常念、鉢盛山、前穂高岳、白馬岳、武石峰、権見山、須坂基線、髻山、陣場平山、井上山、雁田山、斑尾山、岩菅山辺りが視野に入ると思われる。

 周囲は360度の大パノラマだ。北アルプスは言うに及ばず、戸隠高原、志賀高原、上信高原など。筑北三山の一つで最高峰、ここは2回目の登頂であるが、四阿屋山は既登、残る未踏は冠着山である。長野県のヘソのような位置にある。ちょっと開発し過ぎであるが、楽してこのパノラマは感激する。

 堪能後は、蕗の薹を摘みながらの下山となった。岐路はR403へ戻らず、北の道を辿り、狭隘なR19へ下った。そこから、枝道に入り、峠を越えると県道51へぽんとでた。Aさん宅へはすぐだった。

 夜は食事しながら、酒を飲み、山談義に花が開いた。

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