奥美濃・高屋山の沢を溯る2012年07月08日

 7/7、Yさんと合流し、予定の17時に少し遅れて、名古屋を出発。まだまだ明るい。テントサイトに近い上大須ダムではほたる狩が行われていたがパス。一般の人にはほたるさえ珍しいものになったのか。
 私にとってほたるは物悲しい思い出につながる夏の虫である。前夜発で空地に一夜のテントを張るとどこからか、ほたるが乱舞するのが見える。あれっ、ヘッドランプが近づいてくる?誰だろう?ああ、あれは過去に亡くなった山の友人がほたるに化身して、おまえ達楽しそうだなあ、気をつけて登れよなあ、と遊びに来るように思えてならないのである。
 今回は、メンバーが5人と揃ったが1人は都合で遅くなり、4人で宴会となった。宴会後は早めの就寝となったが、零時ころから突然暴走族のような爆音にびっくりさせられた。元気な奴がいるわいと我慢して寝た。一時半頃まで続いて静寂を取り戻した。昨年聞いた、ホトトギスは今年は声音が下手でまだそれらしく聞こえない。
 飲みすぎたビールの所為で何度も夜中に小水で起きた。4時半ごろにはもうごそごそしだし、明るくなって二度寝は出来なかった。7月になったとはいえまだまだ明け易いこの頃である。
 朝食には遅れてきたW君も加わって、こってりした朝食をとった。残り物にウドン、ご飯などごった煮のような感じがする。
 目指すは高屋山のある根尾越波(おっぱ)の登山口である。廃村越波は夏だけ来る村民の生活(たつき)の煙が上る。食べていければこんな良い所はないのだが。
 記録のない沢なので、現地で確認するのに手間取った。8時過ぎ、3人は沢から、2人は尾根から登ることになった。道すがら、出会った、区長さんはオクノマンタニと教えてくれた。車のナンバーは一宮だったから今は息子さんの家に同居しているのだろうか。近くの看板には奥の廻り谷とあった。
 道路に面した谷口はヤブに覆われ、腰が引ける。無理矢理、ヤブをくぐっていくと視界も広がった。堰堤を越える。平凡な沢を溯るとしばらくで伏流となり、水が枯れる。水のない沢は日本アルプスの登山道みたいに歩けるから早いピッチで登れた。地形図で表現された平に着いた。一帯は栃の群生地であった。葉を数えると七枚あるので七葉樹を当てることもある。栃の実は昔の山びとの貴重な食料品であったから大切に保存されているのだろう。錆びたワイヤーロープを見るとブナは伐採されたのであろうが栃だけは保存されたのだろう。栃の実せんべい、栃餅などに加工されて、山の味となって今も残る。ああ、一つでも食べたい。
 しばらくすると水が現れて、涼しい。冷たい水が気持ちいい。ブナなどの濃厚な緑の空間を溯れた。着いた稜線の標高は1100mもあろうか。所々、鉈の切れ目が入って、藪が切り開かれている。好きものの仕業かな。若干で山頂に着いた。
 山頂は平で切り開かれてくつろぎ易い。背の高い樹林に囲まれて展望はない。じっと座っていると、風が通り、涼しい。別働隊の2人が来ないので、休んだ後は下山した。ルートには赤のテープがあり、踏み跡を辿れる。尾根は主にブナが主体となっている。所々、踏み跡が途絶えて、迷い易い。若干下ったところで、別働隊がやっと登ってきた。下の方で迷ったらしい。
 尾根は急になる。木の枝を掴み、ブレーキをかけながらの下山になる。樹林帯の中の低潅木の中を下るが赤テープは頻繁にある。但し、漫然と歩いていると、倒木でふっと見失うのでまたうろうろ探すことになる。別働隊がつけた赤い布も見たからこの辺で迷ったか。そこは杉の植林地帯との境目付近だった。杉は立派に育っているが、日を遮るまでに育つには、年数がかかる。その間に潅木が成長して道をあやふやにするのだろう。
 尾根は益々急になって、沢にすとんと落ちる感じで終わった。きれいな沢をまたぎ、もう一つまたぐと、草地を経て、県道に出た。しばらく登ると車に戻った。
 早速、スパッツを外して蛭をチエックすると小さな奴が1匹、大き目が1匹とこの時期、この山の石灰岩質、気象などを考えると、意外に成果はなかった。但し、Yさんは生足を露出していたので、遡行中から蛭に好かれていた。何匹もとっては殺している。その度に防虫剤を噴霧していた。ヤブを忌避してきたYさんにはスパッツなどは不要だったのである。「記録のない沢もいいね」といったのは多分に負け惜しみもあっての呟きだったかも知れません。
 これでW君は『ぎふ百山』を一座ゲットし、60座くらいになったとか。沢とスキーで登る『ぎふ百山』ツアー(ミニ宴会付き)はまだまだ続きます。

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